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今思えば、そこで「DEATH NOTE」の形はできあがったんだと思います。デスノートを拾った少年を主人公として描く、だけでは、デスノートでただただ殺人を重ねていく一本調子な展開になったかもしれないなと思ったりもしますし。それにLも登場しなかったわけですしね。ただ実際の連載中は、だいぶ覚悟を持ってやっていました。大場先生にも小畑先生にも、連載会議を通った時点で「このマンガはTVアニメ化とかは難しいだろうし、何かあれば連載中止もあるかもしれません。でも自分はすごく面白いと思うので、やれるところまでやりましょう」と伝えていました。──その時点ですでに大場先生の中には「DEATH NOTE」のアイデアがあったんですか。僕自身は「連載を考えるとしたら、デスノートを拾った色々な人が、それぞれ色々な使い方をするのを描いていくオムニバス的な話になるんですかね?」と思って、大場先生にそう聞いたんです。そうしたら「本当は、デスノートを拾った1人の少年がノートを使っていく様を描き続けるマンガにしたくて」とおっしゃって。「でも、ジャンプでそんな話もどうなんだろう」という気持ちも抱えながら作っていったのがあの読み切りだったと。オムニバスしか考えられなかった自分には、1人の少年を描き続けるというアイデアは思いもしなくて、すごく面白いと感じたんです。でも、デスノートを使い続ける少年の物語というのも、確かにどうなんだろうとなって。打ち合わせをしていく中で、デスノートを拾った少年を追いかけるキャラクターを出して、拾った少年を悪として描き、かつ2人が主人公と言えるくらいの物語になればいけるんじゃないか、となったんです。1969年生まれ、新潟県出身。1985年に「500光年の神話」で第30回手塚賞準入選。1989年に週刊少年ジャンプ(集英社)にて「CYBORGじいちゃんG」で連載デビュー。1991年に連載を開始した泉藤進原作による「魔神冒険譚ランプ・ランプ」以降、主にマンガ原作者と組んで活動している。ほったゆみ原作による「ヒカルの碁」で2000年に第45回小学館漫画賞、2003年に第7回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。ジャンプスクエア2015年12月号(集英社)より、大場つぐみ原作による「プラチナエンド」をスタートさせた。大場原作ではこのほか、「DEATH NOTE」「バクマン。」も手がけている。──確かに第1話では月がデスノートで殺人を行うだけでは終わらずに、Lもちゃんと出てきます。2003年、週刊少年ジャンプ(集英社)にて小畑健とタッグを組んだ読み切り「DEATH NOTE」で、原作者としてデビュー。読み切りを元にした同名作を2003年から2006年にかけて週刊少年ジャンプにて連載。同作は映画、アニメ、TVドラマ、ミュージカル、小説化などさまざまなメディアミックスが行われるヒット作となる。その後2008年から2012年にかけ、再び小畑とコンビを組み「バクマン。」を週刊少年ジャンプで連載し、アニメ化、実写映画化を果たす。ジャンプスクエア2015年12月号(集英社)にて、三度小畑とタッグを組み新連載「プラチナエンド」をスタートさせた。メディアミックスは基本連載中にというのがほとんどですが、いろいろな可能性を考えて、すべて連載後の展開でした。でもストーリーの特性として、結末を汲んでもらえたのは、とても幸せだったと思います。中学校の卒業式当日、同級生が卒業に浮かれるなか独り中学校を後にする、架橋明日(かけはしミライ)。生きることに希望を見出せない彼は、いったいどんな道を歩むことになるのか……。これは、人と天使の物語である。──では連載版の大量殺人犯と名探偵の頭脳戦、という発想はどのように生まれたんですか。──読み切りは連載版とテイストが違いますよね。ノートに名前を書かれて死んだキャラクターが、消しゴムを使うと生き返ったりしますし。──「プラチナエンド」は大場先生と小畑先生のタッグでの3作目になりますが、もともと吉田さんはおふたりによる1作目「DEATH NOTE」を担当なさっていたんですよね。ジャンプスクエアの創刊8周年を記念した、大場つぐみ原作による小畑健の新連載「プラチナエンド」が表紙と巻頭カラーでスタート。「DEATH NOTE」「バクマン。」「プラチナエンド」のA4版カラー複製原稿セットが手に入る、3号連続での応募者全員サービスも行われる。また浅田弘幸「テガミバチ」が完結するほか、蒼樹うめの描き下ろしポスターが付属。そうですね。読み切り版から連載版の最終回まで、一貫して僕が担当していました。2001年、集英社に入社。同年より週刊少年ジャンプ編集部に配属される。2012年に週刊ヤングジャンプ編集部に異動した後、2014年よりジャンプスクエア編集部に所属。これまでの主な担当作品に「DEATH NOTE」「D.Gray-man」「めだかボックス」「All You Need Is Kill」「大斬-オオギリ-」など。今号よりデジタル版も、少年ジャンプ+やジャンプBOOKストア!などの電子書店にて配信中。──小畑先生は当時すでにベテランだったと思うのですが、大場先生はデビュー作です。どういった経緯でおふたりがコンビを組むことになったんでしょう。正直なところ当時の自分は、読み切りは「世にも奇妙な物語」に出てくるような、ある意味ひとネタの話だなと思っていたんです。でも蓋を開けてみたら、アンケートで1位だったんですね。もちろん小畑先生の絵が入って、しっかりしたホラーになったので、「上位いける!」とは思ってましたけど、1位までは考えていなくて。それで、「結果がよかったので、これで連載を考えましょう」と。もうだいぶ昔の話になりますね(笑)。僕が入社2年目のときに、ほったゆみ先生と小畑先生で連載していた「ヒカルの碁」の2代目担当になったんです。引き継いだときには、ほった先生の中ではもう完結が見えていてという状況で、僕が担当させてもらったのは終盤の10カ月くらいでした。それで「ヒカルの碁」完結にあたって、当時の週刊少年ジャンプ編集長だった茨木(政彦)に、「小畑先生の次の作品を考えろよ」と言われて。いろいろと考えていたところに、大場つぐみという原作者が突然現れたんです。連載開始を記念しコミックナタリーは、「DEATH NOTE」を手がけ、「プラチナエンド」で再び2人の担当を務めるジャンプスクエアの副編集長・吉田幸司氏にインタビューを実施。コンビ結成のきっかけから、「DEATH NOTE」の裏話、自身をモデルにしたキャラクターも登場した「バクマン。」の感想、そして「プラチナエンド」立ち上げの経緯までをたっぷりと語ってもらった。ええ。もともと先輩の編集が大場先生と読み切りネームのやり取りをしていて。それを知っていた茨木が「こういう原作があるんだけど、『ヒカルの碁』も終わって、まずは読み切りどう?」と小畑先生に話をしたんです。それで小畑先生の担当であった自分が、その読み切りと大場先生も担当することになって。最初に大場先生に会ったときには、読み切り版のネームは、ほぼできあがっていましたね。そのネームを読ませてもらって、小畑先生がこれを描いたらホラーマンガになるなと思いました。掲載時期も夏ぐらいだからちょうどいいかなと。それで大場先生と細かい部分を詰めて、少しだけ修正したネームを小畑先生に渡して、読み切りができあがったんです。「DEATH NOTE」「バクマン。」とヒットタイトルを送り出してきた大場つぐみ、小畑健コンビによる最新作「プラチナエンド」の連載が、ジャンプスクエア12月号(集英社)にてスタートした。2人が約3年半ぶりにタッグを組んでの連載となる本作は、生きることに希望を見出せない少年・架橋明日(かけはしミライ)を主人公とした、人と天使の物語だ。──結果的に「DEATH NOTE」は小説、映画、アニメ、ミュージカル、ドラマとメディアミックスされましたが、どれも連載後のことでしたね。 一方、メトロポリマンに扮する神候補が再び動き出し、残りの神候補11人に、話し合いを持ちかける。そして、そこで起こるのは――! ?「人は…生きてなきゃ駄目なんだ」 小日向冬子の殺人ウイルスを白の矢で無効化し、反撃の機会を得た明日。だが、目の前の人間を殺すか、他の人間が死ぬか。明日は究極の選択を迫られ…!? そして彼が目指す結末とは!? ? ©大場つぐみ・小畑健 / 集英社『プラチナエンド』 (Platinum End) は、大場つぐみ(原作)、小畑健(漫画)による漫画作品。大場と小畑のタッグでは3作目にあたる。『ジャンプスクエア』(集英社)2015年12月号より連載中。『ジャンプスクエア』副編集長の吉田幸司が担当編集を務める。 残り6人――。環境も思想も異なる者たちが、それぞれ思い描く未来とは! 大場つぐみ×小畑健「プラチナエンド」特集 担当編集・吉田幸司氏インタビュー コミックナタリー Power Push - 大場つぐみ×小畑健「プラチナエンド」