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残業手当は、時間外手当とも呼ばれ、法定労働時間以上の労働に対して発生する割増賃金です。法定労働時間は、労働基準法で1日あたり8時間以上1週間あたり40時間以上の労働の禁止が定められています。そのため、例えば9~19時まで休憩時間を1時間挟んで働いた場合、18時以降は時間外労働となり、残業手当の対象となるのです。また、月~金曜日まで1日8時間働き、土曜日にさらに4時間働いた場合、1週間に44時間の労働をしたことになります。よって、土曜日の4時間も時間外労働となり、残業手当の対象です。書面に残しておくのは、在宅勤務にかかる経費だけではありません。そのほかの手当も事前に決め、必ず書面に残しておきましょう。手当は、法律上必ずつけないといけません。労働基準法では、休日出勤手当や残業手当、深夜残業手当を支払うよう定められています。一方、役職手当や通勤手当などの手当は、企業側が自由に定めることができ、取り入れなくても構いません。在宅勤務において、トラブルになりやすいのが休日勤務手当と残業手当です。在宅勤務をする場合、インターネット環境は必須です。インターネットを使用するには、電気代や回線代、場合によっては回線の開通工事費用も必要となってきます。また、自宅の電気代や水道代、文具代などもいるでしょう。このような場合、企業はどこまでを在宅勤務の経費としてとらえ、支払うべきなのでしょうか。また、経費の支払い方は、どのように決めるべきなのでしょうか。経費について詳細に決めておくことで、在宅勤務をスタートした後に発生しうるトラブルを防ぐことができます。また、トラブルを防ぎ、従業員に気持ちよく労働してもらうことは、生産性を高めることにもつながるのです。ここでは、在宅勤務の経費対象となるものや、支払い方を決めるポイントなどについて解説します。在宅勤務にかかる経費は、必ず書面で確認しておくことが重要です。ここまでに挙げた経費のほか、郵送費や交通費など、業務で使用するものは企業負担が原則です。在宅勤務社員は、通常の社員と勤務形態が大きく違うため、在宅勤務の経費をはじめ、機器の貸与や労働時間管理、在宅勤務の頻度や期間などの詳細を規定した雇用契約書や在宅勤務規程を作成しておきましょう。経費に正当性があるかを判断し、負担割合を決めて支払うのか、在宅勤務手当の中にあらかじめ経費を含めたうえで支給するのかを、従業員と話し合って決めておき、必ず書面に残しておくと安心です。在宅勤務の場合、勤務場所が自宅になるため、休日や残業については切り替えが難しく、企業にとっては管理しにくいという側面があります。毎日の労働開始時間と労働修了時間を電話やメールで報告してもらうほか、クラウド型の勤怠管理システムを使用するなど、企業側が便利でシンプルな方法での管理を行うことが求められます。また、みなし労働が適用になる場合、残業代の支払いは不要です。ただし、休日出勤手当や残業手当、深夜手当などは支払う必要があります。そのため、業務内容に応じて事前に従業員から申請してもらい、許可制にするなど、事前に決めておくことでトラブル防止につながります。就業規則にも盛り込み、従業員にも説明しておきましょう。4つ目は「パソコン持ち帰り方式」です。社内のパソコンを自宅に持ち帰り、業務を行います。セキュリティやVPNなどの費用が必要です。それぞれの方式ごとに必要な費用に加え、自宅にインターネット回線が開通していない場合は、引き込み工事やプロバイダ契約の費用もかかります。これらは、企業が負担するのが一般的です。すでにインターネットが自宅に開通している場合や、開通したインターネットをプライベートでも利用する予定がある場合もあるでしょう。この場合、企業と労働者が負担割合を決めて、負担分を支払うケースもあります。ただし、支払う割合についての明確な決まりは特に定められていません。スマートフォンなどは、業務内容によっては従業員個人のものを使用するということも珍しくありません。ただし、その場合は通信費などの負担割合を決めておくことで、後々のトラブルを回避することができます。在宅勤務の対象となる従業員を、育児および介護中の社員に限定している場合もあれば、全従業員を対象にしていたり、一定の部門を除く従業員が対象になっていたりと、企業によってさまざまです。労働時間については、基本的に事業場外みなし労働時間制が適用されます。事業場外みなし労働時間制が適用されるかどうかは、いくつかの要件を満たしている必要があります。睡眠や食事など日常生活を送る自宅で仕事をしており、会社からの指示を待って待機していないことが条件です。つまり、回線が接続されていても、パソコンなどから自由に離れられるのであれば、条件に該当するということになります。パソコンをはじめ、周辺機器やスマートフォンなど、業務に使用するものは全額企業負担としているケースが多いです。パソコンを使用する場合、個人が所有するパソコンを使うこともできますが、セキュリティの観点から、会社のパソコンを貸し出すケースが大半を占めます。個人のパソコンだと、家族が使ったり、ウィルス対策が不十分だったりすることで、業務上の秘密事項が漏れるという心配があるからです。また、会社が貸し出すパソコンについても、会社が認めないソフトウェアのインストールを禁止しています。会社が貸し出す場合も、全額企業側が負担するのが一般的です。業務に必要なノートやファイルなど文具類の備品は、基本的に企業側が負担をします。文具類に関しては、従業員が立て替えて購入するケースも多いため、あらかじめ清算方法について決めておくとスムーズでしょう。利用頻度や企業によっては、宅配メール便や切手などは、事前に一定数を従業員に渡しておくのも1つの方法です。また、会社宛の宅配便は着払いにするとよいでしょう。やむを得ず従業員が宅配メール便などを立て替えた際の清算方法も、ルール化しておくことが必要です。厚生労働省の「テレワーク導入のための労務管理等Q&A」では、水道光熱費についても業務で使用する部分は企業側が負担すべきであると示しています。ただし、自宅の電気や水道などは、家族や従業員がプライベートで利用することもあり、業務での使用と切り離すことがとても困難です。そのため、利用時間から割り出して企業の負担分を算出するか、在宅勤務手当の中に含んで支払うかといった形をとっているケースが多くなっています。従業員側にとっては、会社が自宅から離れていても就業でき、通勤時間を削減することにもつながります。子育てや介護のために、自宅を離れられないという人でも働けるという点も、メリットの1つといえるでしょう。このように、在宅勤務は企業と従業員がお互いにプラスになる面をもった働き方なのです。休日勤務手当は、休日出勤した場合に出されます。休日出勤の対象となるのは、法定休日出勤のみです。法定休日は、労働基準法で定められた週1日の休日を指します。法定休日に出勤すると、休日手当として1.35倍の割増率をかけた賃金がもらえるのです。一方、法定外休日に出勤した場合は、休日手当の対象外となります。ただし、法定外休日でもその週の労働時間が合計40時間以上だと、法定外休日の出勤が残業扱いとなり、1.25倍の割増賃金が発生するのです。在宅勤務は、自宅で業務を行うことで企業に雇用されているという状態です。政府は働き改革の中で、「テレワーク」という働き方を推進しています。これは、場所や時間を選ばず、ICTを使って柔軟に働くというものです。在宅勤務は、このテレワークの中の1つで、テレワーク導入企業のうち29.9%が在宅勤務を導入しています(2018年時点)。在宅勤務で対応できる業務は、大きく分けて3種類あります。1つ目は、1人で完結できる業務です。業務の最初から終わりまで、同僚や取引先とコミュニケーションをとらなくても、1人ですべてを完了できる業務を指します。インターネットなどの通信設備とは、インターネットを利用するために設置する光回線などの設備のことです。在宅勤務を導入するためには、ICT環境を構築する必要があります。ICT環境の構築方式は、次に挙げる4つから選択することができます。1つ目は「リモートデスクトップ方式」です。社内に設置したパソコンのデスクトップ環境を、自宅で使うパソコンやタブレット端末から遠隔操作したり閲覧したりできるシステムです。この場合、認証キーを購入する費用が必要となります。無線LANなど業務に使う通信費は、企業側が負担している傾向にあります。ただし、インターネットの場合は、プライベートで利用することも多いでしょう。さらに、家族と同居していればその家族も利用することが考えられます。このような場合、個人と業務での使用切り分けがとても難しく、費用の負担比率がはっきりしません。そのため、一定額を会社負担にしているケースが多いです。あらかじめ、従業員と話し合って決めておくと安心です。また、在宅勤務手当の中に通信費をあらかじめ組み込んでおくというのも1つの方法といえるでしょう。2つ目は、成果で判断できる業務です。データ入力やプログラム作成など、客観的に仕事の成果を判断できるもので、成果報酬型に適しています。3つ目は、従業員の裁量に任せる要素が大きい業務です。研究や開発、経理、企画などの業務や、クリエイティブ系、IT系業種の業務など、専門性の高い業務がこれに該当します。在宅勤務を導入している企業は、ほとんどの業務を在宅勤務に当てているケースもあれば、週に1~2回、または1カ月の中で数日程度など部分的に導入しているケースもあります。また、1カ月の中で在宅勤務の上限回数を設定している企業もあるのです。2つ目は「仮想デスクトップ方式」です。社内に設置されたサーバーが仮想デスクトップを提供し、自宅のパソコンから遠隔ログインして利用できるのが特徴です。リモートデスクトップとは異なり、一度サーバーを経由して社内のパソコンにアクセスするため、回線速度が大きく影響します。社内に専用サーバーを設置する費用が必要です。3つ目は「クラウド型アプリ方式」です。Web上からクラウド型アプリに接続し、作業を行います。アプリの月額使用料や従量課金などの費用が必要です。すべての従業員に該当することは就業規則に、労働者によって異なることは雇用契約書などに盛り込んでおくとよいです。10人未満の会社や個人事業の場合、就業規則を作成する義務が法律的にもありません。その場合、労働契約書が特に重要になってきます。在宅勤務を始める前に、条件を書面できちんと提示し、企業側も従業員側も共に納得したうえでスタートすることが大切です。在宅勤務を導入することで、地方の企業が都心に住む人を雇うようなことも可能です。高い技術や専門的な知識を生かし、これまで以上の成果を得られる可能性も広がるでしょう。また、人手不足の解消につながることも期待できます。ただし、在宅勤務を導入するためには、従業員に気持ちよく働いてもらうことが大切です。そのための要素として欠かせないのが、経費を企業側がどこまで負担するかということなのです。在宅勤務で業務に必要な経費は、基本的に企業側が負担します。企業や従業員によって細かい部分は異なるため、必ず事前に話し合い、企業側も従業員側も十分に納得したうえで、詳細を決めてから業務を開始してもらいましょう。場外みなし労働時間制が適用された場合、休日勤務や残業などの決め方が社内労働者とは異なります。しかし、評価や昇給に関する基本的な考え方は変わりません。在宅勤務に必要な経費は、企業が負担するのが原則となっており、厚生労働省が「テレワーク導入のための労務管理Q&A」でまとめています。在宅勤務を導入すると、企業側にも従業員側にもメリットがあります。企業側のメリットとしては、コストの削減や優秀な人材の雇用促進です。自宅で勤務してもらうことで、空調や照明の費用やオフィスの備品などコストの削減が期待できます。また、会社から離れた場所で暮らしているような人も採用することができるため、より優秀な従業員を確保して自社で働いてもらうことができるのです。