埼玉県をディスって、ディスりまくったにも関わらず、2019年に社会現象級のヒットを記録した映画『翔んで埼玉』。自虐とディスり満載の本作がここまで愛されたのはなぜか、作中の名(迷)シーン8選を振り返り、ヒットの謎に迫ります。 これをもし映画館で見たらと思てたらと思うと、冷や汗出ますね。だってGACKTの演技を見るのに1800円払うんでしょ? ありえないって。「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督による、埼玉いじりを約1時間30分かけてぶっ通しでやる、ひどい企画。同名漫画の映画化です。笑えるのは最初の10分ぐらいで、肝心のストーリーがつまらないので、最後まで見るには2、3回に分けて見る必要があります。それに埼玉を題材にしているくせに埼玉出身の俳優をほとんど使っていなかったり、埼玉というより、そもそも映画を舐めてるよね。これで「実はけなしているようで埼玉愛に溢れてます」みたいな感じで来られても。しかしそこに埼玉のライバル県である千葉も名乗りを上げ、埼玉と千葉が江戸川を挟んで全面戦争となる。日本ってなぜか多くの人の頭の中では田舎=格下、都会=格上みたいな謎のカースト制度が成り立っていて、そのコンプレックスの中で普通に生活しているじゃないですか。ところが帰国子女の美少年、麻実麗はそんなZ組の生徒たちにも優しかった。一見エリートの彼は実は埼玉県人だったのだ。僕は東京出身なんですが、東京の中でも都心出身の人たちはやたらドヤ顔で出身地を言うからね。なんの自慢だよって思うけど。確かに埼玉ポーズとか、サイタマラリヤとか、くだらなさで笑える箇所はありますよ。ローカルネタを理解しているかどうかによっても楽しめる度合いも変わってくるでしょう。ラジオドラマの物語の中では演者があえて大げさに王子様、お姫様風に喋る演出になっていて、埼玉いじりがあくまでもフィクションであることを強調しています。出身地差別を面白おかしく描いた、低レベルギャグコメディー。こんなの見て埼玉県K民は笑ってる場合じゃないよ。5点(100点満点)そんな時代、東京の名門校、白鵬堂学院では出身地によってクラス分けがされていた。都心部出身の者たちからA、B、Cとランク分けされ、元埼玉県人が集まるクラスはZ組だった。Z組の生徒たちは校内でもゴミ扱いされていた。この映画はまさにそういう層に向けた作品で、これがヒットして、共感を得ている時点で、いまだに多くの日本人の価値観が田舎蔑視と都会への憧れに基づいているとも言えそうですね。小っちゃいわー。加えていえば映画の内容をコメディ一辺倒にしてしまうとやがて客は飽きるので緩急をつけなければいけないんですが、上記でGacktが捕われたシーンも中途半端に笑いにサイを振っているので緊迫感がなく、それ故に敵対者の伊勢谷のキャラが立たず茶番劇にしか映らない。だから終盤で主人公たちが伊勢谷と共闘してもカタルシスが感じられない。それで東京に住み始めた途端に自分の地元を馬鹿にしだす、というパターンは結構あるんじゃないかな?これだけグローバルな世界になっても、いまだに日本という狭い場所で、しょうもない地理的優位性を競ってるわけですよ。冒頭のテロップはフランクな言い回しも含めて原作マンガの再現(原作もそうですがこれすらもジョーク)で、単なるクレーム回避ではありませんよね(というか、どう見ても火に油でクレーム回避出来てないです)。これを寒いという感性がうすら寒いな、と思いました。ただ、そういうギャグやあるあるネタって短いからいいんであって、30分超えたらしつこいだけなんだよね。ラストで流れる、はなわの曲が一番まとまってて面白かったもん。麻実麗は、差別を受ける埼玉県人を解放しようと、通行手形制度の撤廃を目標に掲げ、埼玉解放運動を指導していく。ある日、菅原家の両親と娘は、娘の結納のため車で会場に向かっていた。家族が車の中でラジオを聞いていると、埼玉に関する都市伝説ドラマが流れていた。海外在住。映画ブログ歴10年以上。年間300本以上の映画やドラマを鑑賞。特技は文句を言うこと。冒頭で「この物語はフィクションであり、実在の人物名、団体名、特に地名とは一切関係ありません」というテロップが流れるのもそうですが、埼玉をいじり倒している割にはちゃんとクレームのための逃げ道を作っているところがダサいです。現実ストーリーのほうはまだ見れるのにファンタジーストーリーが8割ぐらいの割合を占めていて、登場人物がギャーギャー騒ぐだけなので付き合いきれなかったです。出身地を馬鹿にするって結構タブーなことだと僕は思うんですよ。でもそれをあえて笑いにして挑戦するっていうんだったら言い訳なしでやれよって。クレームが来ても「だって全部本当じゃん」って開き直れるぐらいの意気込みで作るんならまだしもね。一方で地方から東京に出て来る人もまた都心に住むことをステータスに掲げて、六本木とかで遊ぶことに悦を感じたりしてるからね。埼玉県人は通行手形を持っていないと東京に入ることが許されなかった。見つかれば即逮捕され、晒し者にされた。物語は、結納のために会場にまで車で向かっている家族の現実ストーリーと、その家族が聞いている都市伝説のラジオドラマのファンタジーストーリーの二重構成になっています。それは埼玉を解放した偉人、麻実麗の話だった。かつて東京では埼玉県人に対してひどい迫害が行われていた。 映画「跳んで埼玉」の大ヒットを受けてか、グッズが大人気のようです。いまだに公式オンラインショップなどでは売り切れとなっている商品も多い状況です。 一番人気は通行手形!?人気のグッズや購入できる通販・販売店情報をまとめてみ …
本作の主人公の一人・麻実麗を演じたのは、シンガーソングライター、俳優などマルチに活躍し、セレブ芸能人としてもお馴染みのGACKT。GACKT自身は沖縄県出身です。麗は3年A組の転入生。丸の内の大手証券会社の御曹司で、東京都港区に籍があります。美貌と都会的なセンスが憧れの的になっている、アメリカの帰国子女です。映画『翔んで埼玉』は原作の要素を忠実に再現しているため、男子である百美が麗に恋心を抱くなど、耽美なBL描写もそのまま描かれています。百美は妄想癖が激しく、麗と阿久津のキスを“悪夢として”見るシーンがあり、演じたGACKTと伊勢谷友介の色っぽいキスに衝撃が走りました。元々は存在しないシーンで、「魔夜先生の世界観を再現するためには必要」という、GACKTの提案で追加されたとのこと。GACKTは公開初日舞台挨拶でキスについて聞かれ、「公私混同っていうんですよ。どうしても伊勢谷くんとチューしたいという」と、お茶目に返していました。阿久津は壇ノ浦家に仕える都会人と見せかけて、実は千葉県の出身。「千葉解放戦線」というレジスタンスを率い、千葉に対する差別に抗うべく尽力します。麗と同じ通行手形制度の撤廃を目指していますが、都知事にすり寄る、という違った手段をとっていました。映画のオリジナルシーンにして、最大の見せ場とも言える「流山の戦い」。江戸川を挟んだ埼玉解放戦線と千葉解放戦線が、激しくぶつかり合う!と思いきや……。千葉県が館山市出身の「X JAPAN」YOSHIKIの顔がプリントされた旗を掲げれば、埼玉県は蕨市出身の「THE ALFEE」高見沢俊彦の凧を揚げ、有名人出身地対決が展開しました。他にも埼玉からは反町隆史と竹野内豊、千葉からは桐谷美玲や真木よう子など(一部は阿久津に「弱い!」と言われたものの)豪華すぎる有名人が登場します。千葉県が名女優・市原悦子を出し、麗が彼女の代表作ドラマ『家政婦は見た』から、「家政婦は見た……」と呟くシーンもありました。壇ノ浦建造を演じたのは、数多くの作品に出演してきた名優・中尾彬。中尾自身は千葉県出身です。建造は百美の父で、東京都知事を務めています。神奈川県本社を置く、シウマイで有名な「崎陽軒」のマスコットキャラクター、「ひょうちゃん」を集めることが趣味。埼玉の熊谷市に暮らす菅原家一家は、娘の愛海の婚約者と共に車を走らせていました。結婚したら東京に住みたいと愛海が期待を膨らませていると、カーラジオからとある都市伝説を基にしたラジオドラマが流れ始めます。それは「埼玉解放の伝説の人物・麻実麗」の物語でした。19XX年、東京では埼玉に対する激しい迫害が続いていました。そんな折、超名門校・白鵬堂学院に海外から麻実麗という美少年が転校してきます。差別対象のZ組を庇う彼の姿を見て、埼玉県民を虐げる生徒会長の壇ノ浦百美は不快に思うのでした。しかし、麗にはある秘密があり――。下川信男を演じたのは、映画『パタリロ』で主演を務めるなど強いインパクトを持った俳優・加藤諒。加藤自身は静岡県出身です。埼玉出身者を隔離するためのクラス「Z組」に所属する下川。学園中から迫害を受けています。埼玉を舞台にし、異例の大ヒットとなった映画『翔んで埼玉』を無料視聴する方法を紹介します。違法サイトを利用せずに、正規の手段で映画のフル動画を視聴しよう!この記事では、あらすじやキャラクター・俳優も紹介しています。東京都民の中に紛れ込んだ埼玉県民をあぶり出すため、臭いだけで判別できない時に踏み絵ならぬ、「踏み草加せんべい」が行われました。埼玉のシンボルこと、しらこばとの焼き印が入った名産品「草加せんべい」を踏むことができるかどうかで、埼玉県民を判別するのです。麗が埼玉出身の家政婦(益若つばさ)をかばい、踏み草加せんべいを煽られるシーンはヒドい茶番で、かなりの迷シーンです。ちなみに、原作では踏む対象が「埼玉県知事の写真」になっています。県民は知事がいかに偉いか徹底的に教育されており、写真を踏むことができないんだとか!おかよを演じたのは、女性向けファッション誌『Popteen』出身のカリスマモデル・益若つばさ。益若自身も埼玉県出身です。おかよは麗の家に住み込み、家政婦として働いています。麗と彼の父との連絡も彼女を通して行われていました。菅原愛海を演じたのは、元AKB48のメンバーで現在は女優として活躍している島崎遥香。島崎自身も埼玉県の出身です。愛海は埼玉出身であることをよく思っておらず、父の埼玉愛にも呆れた様子。結婚を控えており、それを機に東京へ移り住もうと考えています。当初はZ組の生徒を庇う麗を目の敵にしますが、次第に彼に心惹かれ始め、自身の埼玉への拒絶反応と戦うことになるのです。神奈川県知事を演じたのは、俳優のほかにタレントやコメディアンとしても活躍する、竹中直人。竹中自身は神奈川県出身です。神奈川県ならではのある物を送ることで、東京都知事の建造との関係を築いているらしく……?埼玉県をディスって、ディスりまくったにも関わらず、2019年に社会現象級のヒットを記録した映画『翔んで埼玉』。自虐とディスり満載の本作がここまで愛されたのはなぜか、作中の名(迷)シーン8選を振り返り、ヒットの謎に迫ります。埼玉が特にディスられまくっていますが、東京を頂点としたヒエラルキーが存在しているため、その他の県も割とディスられていました。一応の理由があるとは言え、群馬は未確認生物がいる「未開の地」「秘境」などと表現され、栃木や千葉もディスりネタの標的に!?そんな中、茨城県民は埼玉県民ですら見下す存在で、茨城は「埼玉のさらに奥地にあるといわれるあの日本の僻地」とまで言われていました。映画の描写はまだマシな方で、原作でも「気の弱い女性はその地名を聞いただけで卒倒する」など、凄まじいディスられっぷり!一番の被害者は茨城県民かもしれません。百美の父・壇ノ浦建造(中尾彬)は、大都会の知事としての厳格なイメージとは裏腹に、「ひょうちゃん」というキャラクターが好きな可愛い一面も。ひょうちゃんとは、神奈川県を拠点とする「崎陽軒」のマスコットキャラクター。都知事の部屋には、神奈川県知事からの贈り物として、様々な柄のひょうちゃんが飾ってありました。実は演じた中尾も、役と同じくひょうちゃんをコレクションしているそうです。神奈川県は関東各県の中でも、東京都に並ぶ高い都会指数を有する県と設定されており、この描写から蜜月関係を伺うことができますね。阿久津翔を演じたのは、「ジョジョの奇妙な冒険」や「るろうに剣心」シリーズなど、実写化作品での役の再現度に定評がある伊勢谷友介。伊勢谷自身は東京都出身です。阿久津は、百美の家の執事を務めていますが、彼には裏の顔があり――。五十嵐春翔を演じたのは、映画『カツベン!』で主演を務めた成田凌。成田自身も埼玉県の出身です。埼玉出身の春翔は愛海の婚約者。新居を構える場所を検討しています。しかし彼の正体は埼玉県の大地主・西園寺家の子息で、「埼玉解放戦線」の主要メンバーでした。彼は埼玉県に課された通行手形制度を撤廃すべく、東京都知事を目指していたのでした。菅原好海を演じたのは、タレント・歌手・俳優と多方面で活動してきたブラザートム。ブラザートム自身は埼玉県出身です。愛海の父で、埼玉生まれ埼玉育ち。埼玉県に誇りを持っています。白鵬堂学院の生徒は、それぞれの“都会指数”によってA組からZ組までのクラスに分けられており、Z組は埼玉県民を隔離するためのクラスです。Z組の生徒は校舎はオンボロ小屋でトイレはボットン便所、制服はボロボロで保健室も利用できない、劣悪な環境下で生活していました。さらに、女子の制服は上部が肘宛て付きのセーラー服で下部はもんぺに地下足袋と、意味のわからない組合せでした。他のクラスから迫害を受け、衛生面にも問題があるという、酷い扱いに言葉が出ません!壇ノ浦恵子を演じたのは、アイドルとして人気を博した武田久美子。武田自身は東京都出身です。夫の建造との関係は良くない様子で、実は阿久津と不倫関係にあります。魔夜峰央(まや みねお)の埼玉ディスり漫画を、「テルマエ・ロマエ」シリーズなどの武内英樹がメガホンを取り、驚くほどシュールに映画化した『翔んで埼玉』。物語の舞台は、埼玉県民が差別される架空の日本。埼玉出身であることを隠し、カースト最上位の東京都の名門校に転入した麻実麗が、埼玉解放運動に身を投じる異色のコメディです。関東の人びとが“不快”と感じても不思議ではない描写が多いのですが、興行収入37億円超えの大ヒットを記録、2019年に一大ブームを起こしたのです。ディスられたはずの埼玉県民からも、何故か好意的な反応が見られました。この記事では、映画『翔んで埼玉』がヒットしたのはなぜか?その理由に迫ります。名(迷)シーンに関するネタバレを含みますので、まだ観ていない人はご注意ください!隠れ埼玉県人の青年を演じたのは、映画『殺さない彼と死なない彼女』に桜井日奈子とダブル主演した間宮祥太朗。間宮自身は神奈川県の出身です。埼玉県人は通行手形なしで都内に入ることはできません。にも関わらず手形なしで東京見物をしていたため、隠れ埼玉県人の彼はSATの埼玉県人狩りに遭い、連行されてしまいます。主人公の一人・壇ノ浦百美を演じたのは、2020年度前期放送予定の『エール』にてヒロインに抜擢され、躍進が続く実力派女優・二階堂ふみ。二階堂自身は沖縄県出身です。百美は東京屈指の名門校「白鵬堂学院」の生徒会長で、東京都知事・壇ノ浦建造の息子の肩書きから、埼玉県人に横暴な態度をとります。東京テイスティングとは、百美が麗を陥れるために全校生徒の前で行ったゲーム。瓶の中に入れられた空気を嗅いで、東京のどこのものか当てる設定でした。都会指数が高ければ空気の香りで地名がわかる、というとんでもない理論によって、都会人らしさを見せつける謎すぎる内容です。百美はこれまで、何人もの都知事志望の男子生徒を敗北させてきましたが、新記録を打ち出した麗に敗北します。テイスティングの様子が、GACKTが超人っぷりを発揮している番組「芸能人格付けチェック」に似ている、と大きな話題になりました。サイタマラリアとは、小型春日部蚊が媒介して発症する埼玉県特有の伝染病です。体に「さ」の形の炎症、発熱・発疹・下痢・嘔吐の症状が出て、最悪の場合は死に至る恐ろしい病気!埼玉には医者がおらず祈祷師しかいないため、手遅れになる可能性が高いです。また、埼玉以外の県で患者が発見されると、埼玉県民が紛れ込んでいる証拠に!作中では百美も感染しており、笑って良いのか困惑するこの病が、ストーリーの中で重要な要素になります。埼玉デュークを演じたのは、ドラマ「必殺」シリーズなどの代表作を持ち、時代劇から現代劇まで幅広い役柄をこなす俳優・京本政樹。京本自身は大阪府出身です。埼玉デュークは埼玉県民でありながら、山の手の上流階級民のオーラを放ち、「伝説の埼玉県人」と呼ばれていた人物。かつての「埼玉解放戦線」のリーダーで、埼玉県民によるクーデターを画策するもSAT(埼玉急襲部隊)に正体を知られ、身を潜めていました。菅原真紀を演じたのは、「時効警察」シリーズの三日月しずか役として知られる麻生久美子。麻生自身も千葉県の出身です。夫に合わせて埼玉愛も持っていますが、地元である千葉を馬鹿にされると性格が一変します。西園寺宗十郎を演じたのは、舞踏家・俳優として活躍する麿赤兒(まろ あかじ)。麿自身は奈良県出身です。西園寺は麗の父で、見終わると爆発するメッセージを麗に送っています。映画『翔んで埼玉』はぶっ飛んだ世界観を、個性も何もかも濃ゆすぎるキャストが大真面目に、全力で演じた壮大な茶番劇でした!本作は原作が未完のため、原作通りの「都市伝説パート」と、未来の埼玉県に住む一家を描く「現代パート」の二部構成です。一家が都市伝説にツッコんでくれることで、ディスりがある程度昇華され、観客がカタルシスを得られたのではないでしょうか。その埼玉や関東圏への“ディスり”も、裏側には「貶し愛」とも呼ぶべき愛があり、地元民納得の「県あるある」が観客の心を掴んだのでしょう。これらの根底には、ディスられまくった関東圏の人びとの器の大きさがあり、自虐ネタを好みがちな日本人の気質も関係するかもしれません。