なお、ある会社の監査役について、当該会社が、当該監査役が取締役である会社を子会社としたような場合も、当然この兼任禁止に抵触することになり、同じ問題が起こります。③その会社の自然人である親会社等(会社法2条4号の2)又は親会社等の取締役・監査役・執行役・使用人でないこと監査役は、株式会社・その子会社の取締役・支配人その他の使用人、または子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)・執行役を兼ねることができません(会社法335条2項)。①その就任前10年間その会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人であったことがないこと④その会社の姉妹法人の業務執行取締役・執行役・使用人でないこと⑤その会社の取締役・重要な使用人または自然人である親会社等の配偶者または二親等内の親族でないこと②その就任前10年以内のいずれかの時にその会社または子会社の監査役であったことがある者については,当該職への就任の前10年間その会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人であったことがないことこれらの地位にある者が監査役に就任した場合には、その地位を辞したものとみなされ、監査役がこれらの地位に就いた場合には、監査役を辞任したものとみなされます。それにもかかわらず、事実上兼任状況が継続した場合については、監査役の義務懈怠となるに過ぎないとする判例(最判平1・9・19判時1354・149)があります。しかし、このような兼任は、監査役の職務執行と両立しないというのが法の趣旨ですから、そのような状況の監査役の監査は、無効と解するべきでしょう。また、会計参与の欠格事由の1つとして、当該株式会社の監査役であること(監査役は会計参与になれないと)が規定されています(会社法333条3項1号)。監査役については、取締役の資格要件を定める会社法331条1項の規定が準用されており、法人・成年被後見人・一定の犯罪者等は監査役になれません(同法335条1項)。また、公開会社の監査役については、株主に限定する旨の定款の定めをすることはできません(会社335条1項・331条2項)特に、監査役を辞任したものとみなされる場合には、監査役でなくなっているのですから、その者の行為を監査役の行為とすることはおかしいと考えられます。他方、取締役等を辞任したものとみなされる場合については、監査役が事実上取締役としてふるまった場合に類似する面をもちます。その場合の監査の効力については、その状況に応じて、監査役の義務違反で処理できる場合と監査の効力を否定すべき場合とが考えるべきでしょう。少なくとも、すべての場合について、監査役の義務違背に過ぎないと整理することは、適当ではありません。社外監査役の資格が上記のようになったのは,平成26年の会社法改正によるものです。 株式会社の監査役は会社又は子会社の取締役又は支配人その他の使用人を兼ねることができないものとされているが(商法二七六条)、監査役に選任される者が兼任の禁止される従前の地位を辞任することは、株主総会の監査役選任決議の効力発生要件ではないと解するのが相当である。 a氏が取締役を退任した後、同氏を監査役に選任することについては、監査役と取締役等との兼任を禁止した会社法335条2項に違反しないかが問題となりますが、裁判例等に照らし、特段の問題はないと思われます。 【解説】 4. 中小企業においては、まま見受けられるところであるが、上場企業で、会社法第335条第2項の監査役の兼任禁止規定に違反していた例があったようである。
顧問弁護士は監査役になれるか 当社の顧問弁護士であるA氏を社外監査役に選任したいと考えていますが、このような場合、監査役の兼任禁止規定に違反しないでしょうか。
会社法では、株式会社の監査役になれない人の4類型を規定しています。また、監査役には兼任禁止規定というのも置かれています。ここでは、それらについて説明しています。 親子会社間の取引と利益相反取引 【質問】 当社X社は親…【質問】 当社では株主総会における議決権行使の方法として書面投票制度を採用しており、各議…弁護士法人長瀬総合法律事務所、代表弁護士。茨城県弁護士会所属。100社超の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか【質問】 当社ではこれまで特に株主様に対する優待制度を実施してきませんでしたが、株主様の当社のROEや株…A氏が取締役を退任した後、同氏を監査役に選任することについては、監査役と取締役等との兼任を禁止した会社法335条2項に違反しないかが問題となりますが、裁判例等に照らし、特段の問題はないと思われます。(注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき作成しておりますが、最新の法例、判例等との一致を保証するものではございません。また、個別の案件につきましては専門家にご相談ください。 【テーマ】 監査役の資格・兼任禁止・社外監査役の要件 【解説】 1 監査役の資格・兼任禁止 監査役については、取締役の資格要件を定める会社法331条1項の規定が準用されており、法人・成年被後見人・一定の犯罪者等は監査役になれません(同法335条1項)。 【質問】 自動車部品の下請けメーカーである当社は、いわゆる中小企業として事業を営んでいま…同意して送信すると、当社が個別に設定を行う場合を除き、当社はお客様のWebブラウザのクッキーにより当社のWebサイト上におけるお客様の行動履歴と個人情報を紐付けて把握、分析します。【質問】 当社は非上場会社ですが、このたび、当社の創業家であるXが会社経営にこれ以上関与したくないとの…【質問】 このたび、当社では10億円程度の自己株式の取得を予定していますが、「繰越利益剰…以上のとおり、A氏が取締役を退任した後、同氏を監査役に選任することについては、監査役と取締役等との兼任を禁止した会社法335条2項に違反しないかが問題となりますが、裁判例等に照らし、特段の問題はないものと思われます。【質問】 当社は非上場会社であり、取締役会設置会社ですが、このたび、発行済株式総数を減少…Contents【質問】【回答】【解説】2.