研究例2) 内布敦子:看護界における倫理(看護倫理)の動向, 医療・生命と倫理・社会 2(2), 157-164, 2003 文献データベースを利用して、 あるテーマの動向を探る。 この論文の章立て 1.はじめに 2.看護倫理をめぐる職能団体の動き Courage and K. Baxter, ELSEVIER)を元に説明します.研究テーマを決める際は,研究背景(問題点)や研究の意義,研究の取り組み方,文献調査まで考えておく必要があると思います.これらを考えずにテーマを決めても,そこから先の研究の具体化・詳細化ができなくなるでしょう.この他,この本の第2章「実験法の基礎と実験計画の立案」には,「剰余変数の統制の方法」が22ページから28ページに丁寧に説明されているのでぜひ読んで欲しい.「新規性」と「有効性」は相反する性質がある場合もあるので,革新的な研究だけれども今どれだけ有効かは分からない論文もあれば,新規性には乏しいが堅実に適用できる研究成果が述べられている論文もあります.卒論は論文というより,自分が主体的に行った一連のプロセス(問題発見,問題解決への取り組み,卒論の形でまとめる)にどれだけ積極的に取り組んだかも評価のポイントになると思います.授業で学んだことは受け身の知識ですから,わかったつもりでいても身についていません.実際に自分で問題を考え,解決の方法を考えていく中ではじめて学習するのだと思います.「論文」だからこうしなければいけないと身構えて縮こまるよりも,失敗してもよいからどんと挑戦して欲しいものです.文献などの諸資料を読み漁ることでテーマを探すこともできます.テーマがみつからないひとは,まず資料漁りから取り掛かるのがよいと思います.どんな資料があるかは,OPACなどの検索システムで検索すればたくさん見つかりますし,キーとなるような重要な文献は教員が教えてくれます.その資料を読んでみて,その資料に載っていた参考文献を読んでみたり,関連テーマの資料を検索してみたり,関連テーマの学会や研究会の予稿集や論文集を読んでみるのがよいと思います.いきなり論文を読むのは難しいと思うので,予稿集(ヒューマンインターフェース学会や福祉情報工学研究会やヒューマンインターフェース研究会など)や書籍などの方が,最初は読みやすいかもしれません.前章からわかるように,論文執筆に取り掛かる前に,研究をする必要があります.:-)論文には凝った表現は不要です.3つのC(Clear明確な表現, Correct正しい内容, Concise簡潔な文章)を守ることを心がけてください.図表は,それぞれの図表を関連する本文のそばに置く方が見やすいです.卒論の第一読者は,卒論を審査する教員です.卒論やレポートの場合は,学生が基礎知識を身につけていることを示すために,教員がすでに知っていることでも,要領よくまとめて書く必要がある場合もあります.テーマ候補が見つかったら,そのテーマについてもう少し掘り下げて考えて見ましょう.自分の勝手な思い込みや無知によって,テーマになると勘違いしていないかを確認するためにも,友人や先生と話をすることも大事です.議論の過程を経て,テーマを一言で示す「論文題目」と,研究の概要(何を調べるのか,どんな問題を取り扱うのか,どういう結論を見込んでいるのか,どうやって調べるのか)が見えてくると思います.(この作業は,論文の「はじめに」の章の基礎となりますし,どんな研究をするのかの概略がここで決まります.)「信頼性」に欠ける文章は,論文として評価されません.信頼性は,以下の項目を含みます.したがって,論文には,著者の問題意識(問題提起)と著者の考え,「主題(テーマ)」,があります.そして論文は,主題に対する著者の主張を軸に展開していきます.問題意識を感じるためには,視野を広く持ってあれこれ調べたり考えたり,或いは小研究をしたりしてみる必要があります.そういう活動の中から,論文の主題(研究テーマ)が明確になっていきます.この,テーマを決める作業は,卒論執筆全体の中で,まず最初に重要なステップになります.ここに失敗すると,いざ論文を書こうとしてもどうにも書けないという事態に陥ります.:-)次に,その主題を元に論文が展開していくわけですが,一般的に論文は,「問い,検討,答え」の大構造(と,「問いとそれに対する答え」という小構造)を持っています.実験や調査の計画やデザインはその結果をどう分析するかという分析方法と密接に関わっています.質問紙を適当に作成して200名以上の調査をし,さて分析する段階になってどう分析するのかに困り,単なる集計に終わるケースが少なくありません.実験も同じです.実験結果をどう分析するのかを考えずに実験し,分析する段階になって必要なデータが足りなかったり分析に利用できないデータばっかりだったりするケースが見受けられます.卒論(研究)はQuestion and Answerです.問題意識(Research question)がまずあって,それに対する答えをえるために調査や実験をし,その分析結果が問題意識の答えを与えるはずです.「研究は計画的に」卒論を完成させるにあたりお世話になった人の名前を,広く取り上げて謝意を示します.この基本構造以外に,論文の「表題(Title)」と「概略,概要(Abstract)」が,論文の頭に置かれます.『ユーザ工学入門』の2.2節「分析と評価の技術」の「本書で扱っている手法」を紹介します.引用方法には,分野によって異なる多数のスタイルがあります.論文のテーマが属する分野で一般的に使用されるスタイルに沿って,あるいは指定されたスタイルで書くことが大事です.読者が引用文献を自分で調べることができるような書誌情報を,定められた一定のスタイルに則って提供すること.卒論は,完成版を2回以上(初稿,α版,β版,リリースキャンディデート版,提出版)提出して,必ず一度以上書き直してください.文章を書き直し,足りないところを補うことで,見違えるほど質が向上します.論文は感想文ではありません.論文とは,著者の考えを,筋道を立てて論理的に主張する文章です.論文執筆とは,自分の頭の中に内在しているモヤモヤした考えやアイデアを,論理的に再検討して(つまり,何度も考えて)結晶化させ,文章の形にまとめあげる作業です.(したがって卒論執筆は,慣れていない人には時間がかかり,頭を使うつらい作業になります.)文献調査をする際は,文献の出典情報をきちんと記録しておきましょう.この出典情報は,論文の引用文献を書くときに必要となります.この文献調査は,論文にまとめようと思っているテーマに関して,過去にどういう研究が行われたか,関連する研究にはどんなものがあるかなど,論文のテーマの位置付けをはっきりさせるためにも必要です.(この作業は,論文の「はじめに」や「関連研究」の章の基礎となります.)研究結果を客観的に評価し考察をします.(結果に対する主観的な解釈や,自己批判をしてもよいです.)研究の過程でわかったことなどもここに書いてよいです.調査や実験で得たデータはそのままでは何も語ってくれません.正しい方法で分析してはじめて,個人差などの多様性や統計的なばらつきを超えた差があるのかどうかを評価できます.実際に作業を進めると,うまくいかなかったり予定通り進まなかったりすることがたくさん出てくるはずです.修正を恐れてはいけません.修正する必要性を感じるということは,それだけ問題が明確になってきた証拠です.あらかじめ余裕がある計画を立てていても時間が足りなくなるはずなので,何が大事かを常に考えて,大事なことだけは押さえてください.(余り大事ではないことはできなくても構いません.大事なことをきちんと押さえていることが何よりも大切です.)「(評価と)考察」と「今後の課題」を,「おわりに(Summaryというより,Concluding Remarks)」にまとめることもできます.なべゼミの卒論では,下記が文献調査に利用できると思います.(僕は下記に書いた学会の会員なので,下記学会の出版物(論文,技術報告,Proceedingsなど)が必要なときは僕に相談してください.)「Webのアクセシビリティと楽しいユーザ体験を両立させるためには何が必要か」という問題意識をベースに卒論を書くとしたら,どんな標題がよいでしょう?「Webのアクセシビリティと楽しいユーザ体験を両立させるためには何が必要か」では長すぎますね.「Webのアクセシビリティと楽しいユーザ体験」だけでは曖昧すぎるかもしれませんが,このくらい曖昧にしておいた方が,これに関するあらゆることを扱えるのでよいかもしれません.卒論が完成していくなかでテーマが絞りこまれると思うので,その絞り込まれたテーマは,卒論の副題として書けばよいと思います.「Webのアクセシビリティと楽しいユーザ体験を構成する要素」なら,明確な題目になりますね.標題を短くするためにも,(「何々の研究」のように)末尾に「の研究」をつける必要はありません.
自分のやりたいこと、知りたいことによって、その進め方はそれぞれ異なってくるでしょう。 調査の方法、分析の方法は、極端に言えば研究の数だけあり、具体的な手法については各自既往研究などを参考にしてください。 卒論テーマ(卒業論文・卒業研究)って決め方に悩みますよね。大学卒業に必要不可欠な卒業論文や卒業テーマですが、決まらないと悩む学生さんは多いはずです。今回は卒論テーマの決め方や、やりやすいと評判のテーマに面白いと話題のテーマまでまとめてみました。 Copyright © みんなの看護研究 All Rights Reserved.例えば、 「業務の中で気になる問題」「最近困ったこと」「自分はどんな看護がしたいのか」「担当した患 者さんとの関わりで難しいと感じたこと」また、移動や転職を経験した方であれば「前のところ ではこうだったけどここでは違う...その違いは何なのだろう」そう考えるとテーマの元なる内容 はいろいろあるのが分かります。 次にこの内容が看護師が扱えるテーマかどうか、研究に適しているかどうかを確認します。 確認のポイントは3つです。以下にあげますので参考にしてみてください。看護研究で一番重要なのがテーマの決定です。看護学においては、わりとどんなテーマでも 研究になりうるという利点があります。看護研究のテーマは大きく二つに分かれます。看護の エビデンスを明らかにする研究と、病棟の問題を解決する調査報告や実践報告です。 よく聞かれることですが「何をテーマにしてよいか分からない」「何を研究したらよいのか分か らない」ということです。確かに今までいろいろな研究がされ発表されてきています。 The Methods」から,Interview(面接法)とSurvey(質問紙)を取り上げて,これらの調査を行う際の注意点をまとめます.英語版しかありませんがとても良い本です.(必要ならお貸しします.)研究が軌道に乗ったら,論文にまとめる作業が必要です.以下,論文の書き方を説明します.私の場合,私が感じる問題意識が研究の元になっています.その問題意識(たとえば,ここが問題ではないかと思うから詳しく調べてみよう,この問題を解決する手法を提案しよう,これは本当に問題なのかどうか確認しよう,など)が動機となって研究がはじまり,いろいろ調べていく中で,明確な主張(著者の考え)が固まるのではないかと思います.なべゼミでは,4年次の最初に,下記に示す「卒論(研究)概要」を提出してもらいます.小柴先生の「三つの卵」に習って,本命・対抗・穴馬の3本の卒論概要を提出することを進めています.その論文が扱う問題意識(問題提起)や研究の目的を示します.また,それを取り上げた理由や背景を説明したり,論じる必要性(研究の意義)を読者にわかるように説明したりします.また,その問題のうち,どの部分をどのように扱おうとするか(何をしようとしているのか)もここで述べます.本文に書くと論点がずれるが書いておく必要があることを,付録としてまとめる方法もあります.研究に取り組む方法,調査か実験か,あるいは他の方法をとるのか,それを検討するためには,どのような研究方法があるのかをあらかじめ知っておく必要があります.ここでは,『ユーザ工学入門 -使い勝手を考える・ISO 13407への具体的アプローチ-』(黒須他著,共立出版)と『人間工学ガイド-感性を科学する方法-』(福田忠彦監修,サイエンティスト社),『Understanding Your Users -A Practical guide to user requirements. 研究テーマの決め方.