『ローマの休日』は、オードリー演じるヨーロッパ某国のアン王女が、ローマを訪問中に宿舎である大使館を抜け出し市内をお忍びで楽しむうちに、アメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)とつかの間の恋に落ちる物語。 『黄昏』のウィリアム・ワイラーがローマに出向いて製作監督した1953年作品。。「ローマの休日」の上映スケジュール・上映館・あらすじ・感想レビュー・みどころ・スタッフ・キャスト・予告篇を紹介します。ローマの休日の上映時間までに映画館に間に合う乗換案内も提供。 宮殿では王女がいなくなったことで、国の最大の危機だと大騒動です。明日は、アン王女の記者会見の予定が入っていました。「今回のご訪問で、一番良かった場所はどこですか?」。記者の質問にアン王女は、「ローマです。私はこの町の思い出をいつまでも懐かしむことでしょう」。と答えます。見つめ合う2人。朝がきました。寝坊したジョーは慌てて仕事へ向かいます。王女の記者会見を取材する予定だったジョーは、上司に会見に参加したと嘘を付きごまかそうとします。信じらないようにアンはジョーに聞きます。「ここは一体どこですか?」。「これは、スクープになる」。ジョーは上司に、王女の独占取材を取り付けて見せると豪語し、急いで部屋に戻ります。映画『今夜、ロマンス劇場で』は2月10日より全国ロードショー! 映画監督を夢見る青年の前に、突然現れたスクリーンの向こう側のモノクロ映画の王女様美雪。 色彩のある世界に憧れてこちら側の世界にやってきた …しかし、上司から新聞を見ろと怒鳴られます。そこには、アン女王は高熱で本日の記者会見は中止と書いてありました。バツの悪いジョー。自由奔放なアンにジョーは振り回されっぱなしです。それでも心から楽しそうなアンに、ジョーもどこか嬉しそうです。そんな時、宮殿から王女を探しに来ていた警備員がアンに気付きます。王女を捕まえようと迫る警備員たち。世界3大映画祭を制覇したにも関わらず、その破天荒かつ狂喜乱舞な演出で話題を呼んでいる『黒猫・白猫』『アンダーグラウンド』の監督エミール・クストリッツァの映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』は日本でも上映 …ジョーの元には、新聞社の上司が訪れていました。アン王女の特ダネは採れたのかと迫ります。そこに写真を現像したアーヴィングもやってきます。アンは、警戒心丸出しの子猫のようです。ジョーは、帰らなきゃというアンに、シャワーをすすめ、朝食の心配をし、送ってあげるよと優しく接します。帰りのタクシー代もくれました。次の日。体調不良のため延期とされていたアン王女の記者会見が行われました。アンもまた、自分の身分に気付いていないようなジョーに、自分は学生だと嘘を付きます。ウルウルとした大きな目はまるで小鹿のよう。彼女の屈託ない笑顔は、見ている人をも笑顔にします。また、アカデミー賞で脚本賞を受賞したイアン・マクラレン・ハンターは、実はダルトン・トランボのフロント的存在でした。実際に執筆したダルトン・トランボは、当時マッカーシー旋風による赤狩りでハリウッドを追われていました。本名をクレジットすることが出来ず、名義を借用していました。「私はその角を曲がります。どうか行先は見ないで。お別れの挨拶は言わないわ」。身分を明かすことなく別れる2人。また、2人が映画の中で訪れた場所は、現在でも聖地として大人気の観光スポットとなっています。監督は『ミルヴァー夫人』『我等の生涯の最良の年』『ベン・ハー』と、アカデミー監督賞を3度受賞した巨匠、ウィリアム・ワイラー監督。町の中は、好奇心旺盛なアンにとって楽しいものばかりでした。ジョーにもらったお金で、露店で靴を買い、美容院で髪をバッサリ切ってしまいます。どうやらアン王女は、少しおっちょこちょいで素直な性格の王女様のようです。「せっかくだから一日、アンに付き合うよ」。カメラマンのアーヴィングも友達として合流。こうして、アン王女のローマ観光、極秘独占取材がスタートとなりました。ジョーも嘘を付いています。果たして手は大丈夫でしょうか。口の奥まで手を入れるジョー。すごい写真が撮れたと興奮するアーヴィングに、ジョーは水をかけ写真をダメにしてしまいます。そこを通りかかったのは、新聞記者のジョー。ベンチで眠っているアンを心配し、揺り起こします。目を覚ますアンでしたが、フラフラとまるで酔っ払いのようです。パンテオン神殿の前のカフェでお茶をし、バイクに2人乗りをしコロッセオを訪問、ヴェネツィア広場をドライブです。アン王女はヨーロッパ各国を表敬訪問中です。多くの人と挨拶を交わし、夜は舞踏会と大忙しです。お別れの時です。アン王女は去り際に笑顔を見せました。しかし、その瞳には涙の跡がありあました。桐谷美玲主演の『リベンジgirl』は、2017年12月23日より全国公開! 男に弄ばれた失恋をきっかけに女性初の総理大臣を目指す、宝石美輝役に桐谷美玲。 自分を振った相手を向こう戦う選挙戦の“リベンジ …ショートヘアになったアン王女は、お似合いと褒められご機嫌です。美しいローマの町を堪能するアン。スペイン広場の階段で、ジェラートを頬張ります。アンは、消えた手に「きゃー」と目を隠すも、次の瞬間現れた手に「嘘つき!」と笑います。アンの安堵の笑顔は素のものでした。主治医がやってきて慰め、眠れるように薬を出してくれましたが、アンは外が気になり寝付けません。こっそり宮殿を抜け出してしまいます。記事と一緒に載っていた王女の写真を見て、さらに驚きます。そこには、昨晩泊めた女の顔が写っていました。ジョーは、アン王女とのローマの一日は、記事にしないと決めていました。それはアンをとても大事に思っているからです。皆の前に現れるアン王女。その姿は気高く気品に溢れていました。身分の違いを改めて感じるジョー。アンは、まんまとジョーを優しい紳士だと思い込みました。「後で必ずお金を返します」。と言い残し一人で町に出ます。1992年に、アカデミー協会は記録を修正。ダルトン・トランボへ改め再度受賞となりました。その会見の場に、新聞記者のジョーとカメラマンのアーヴィングの姿も見えます。『巴里のアメリカ人』は、アーサー・フリード、ヴィンセント・ミネリというMGMミュージカルの黄金コンビが、ジーン・ケリーを主役に、新星レスリー・キャロンを迎えて撮った傑作ミュージカルです。 以下、あらす …王女を守ろうと参戦するジョー。2人は川に飛び込みます。追っ手から逃れた2人は、びしょ濡れです。笑い合うアンとジョー。見つめ合い、キスを交わします。Copyright © 2020 Cinemarcheバイクの運転に興味津々なアンは、途中ハンドルを奪い暴走。とうとう警察に捕まってしまうも、結婚式場に向かう途中だったと嘘をつき、反対に祝福されてしまいます。止まっていた車の荷台に飛び乗り、行きついた先は共和国広場でした。街灯の明かりが輝く広場にアンは降り立ちます。王宮に戻ったアン王女。心配し問いただすお付きの者たちに、アンは気丈に振る舞います。「私は義務をわきまえています。永久に」。この映画でオードリー・ヘプバーンは、アカデミー賞主演女優賞を受賞。彼女の小鹿のような顔立ち、可憐な美しさは、世界を魅了しました。明日のスケジュールを読み上げるお付きの者。ぎっしり詰まったスケジュールにもうウンザリです。アンはとうとう泣き出してしまいました。しかし、主治医にもらった眠り薬が効いてきたようです。広場のベンチに横になり眠ってしまいます。惹かれ合う気持ちは、もう止められません。「話があるんだ」。ジョーの言葉に「何も言わないで」。と止めるアン。「アッー」。苦し気な声が上がります。抜けなくなった腕にアンも驚き引っ張ります。引き抜いた手は、上着の袖で隠され見えなくなっていました。ようやく目を覚ますアン。意地悪な男の夢をみていました。でも、とても素晴らしかった。目が覚めても見える男の顔。ジョーは、話が通じずイライラするも、放って置くことが出来ず自分の部屋へと連れて帰ることにしました。ポーカーでは負け、知らない女に絡まれ、自宅にまで泊めることになってしまったジョー。なんて日なのでしょう。次にやってきたのは、真実の口です。嘘を付いている者が手をいれると食いちぎられてしまうと、脅されたアンは恐る恐る手を入れるもすぐに引っ込めてしまいます。「あなたがやってみせて」とジョーに勧めます。ジョーは「王女のご信念が裏切られぬことを信じます」。とローマでの出来事を秘密にすることを誓います。アン王女は、おやすみの時間となりました。宮殿の外からは、楽しそうな宴会の音が聞こえてきます。うらやましそうに外を眺めるアン。そんなアンの様子をずっと後を付け見ていたジョー。偶然を装い、アンの前に再び登場します。王女だということは知らない振りです。笑顔を絶やさず公務をこなすアン王女。ドレスの下では見えないように片方の靴を脱ぎ、足をポリポリ。靴を履こうとするも靴がコロッと倒れてしまいます。それを見つけたお付きの者たちが、慌ててフォローしました。人の運命は最初から決まっているのでしょうか? ローマ神話に伝わる運命の女神「フォルトゥナ」その瞳を持ってしまった者には、死を目前にした人間が透けて見えるという。 あなたは、目の前の人が死ぬ運命にあるこ …ジョーが部屋に戻ると、アン王女はまだ眠っていました。さっそくスクープを取るために、カメラマンのアーヴィングに連絡を入れます。アメリカ映画初出演となったオードリー・ヘプバーンは、この映画で世界中の女性の憧れとなりました。日も沈み、ローマの町に夜がやってきます。アンの一日も終わろうとしていました。最後に訪れたのは川沿いで開催されている船上のダンスパーティーです。逃げるアンと警備員はもみ合いになり、パーティー会場はパニックです。ギターを振り下ろすアンの姿は、アーヴィングによりバッチリ写真に収められます。 映画『ローマの休日』(1953)の感想とその後の考察と解説【あらすじ、感想、ネタバレあり】 hattori 公開から66年経った今でも世代を越えて語り継がれる不朽の名作『ローマの休日』(1953)。 『ローマの休日』のオマージュ的作品は何があるでしょうか。王女と新聞記者というような身分違いの恋はよく見かけますよね。『ローマの休日』より前につくられているお話ですが、『ロミオとジュリエット』も身分違いの恋です。面白い点の2つ目は、アン王女とブラッドレー記者の恋愛に「約束は守るもの」という要素が絡み、深みのあるものになっています。2人の恋が成就することはなく、身分違いの恋で悲恋を描いています。でも、アン王女は王女として責任と約束を守り、ブラッドレー記者は、アン王女との約束を守ります。作中のオードリーは世界中の女性に“ファッション”の影響を与えました。アン王女は、襟があいたシャツにスカートというファッションで過ごしています。そのときどきで、襟をしめてスカーフを首に巻いたり、袖をロールアップしたりしてアレンジしています。手持ちの服をアレンジしてスタイリッシュに着こなすというスタイルは、世界中の女性たちを魅了しました。王室と民間人である2人の恋愛は、本作の公開前に発覚し大変話題になりました。しかも、タウンゼント大佐は既婚者で子どももいました。1950年に大佐は離婚し、1953年に王女との恋愛関係がメディアによって暴かれたことで、大佐はベルギーへ左遷させられ、帰国後に関係が破綻したそうです。また、破局の理由に王室と英国国教会からの圧力もあったといわれています。候補として挙がっていた続編の内容は、アン王女とブラッドレー記者の出会いから時間が流れ、2人にはお互いそれぞれ子どももいる設定だったそうです。2人は出会い、恋に落ちて、ハッピーエンドを迎えるというストーリー案も出たそうです。『ローマの休日』の見どころは何といっても、当時無名の新人に等しかったオードリー・ヘップバーンの魅力です。細くて繊細で可憐で美しい彼女は、妖精ともよばれていました。注意が必要なのが、スペイン階段での飲食は残念ながら禁止されています。『ローマの休日』のオードリーの真似をして、ジェラートを食べる人が増え、ゴミをポイ捨てする人も増えたからだとかいわれています。政府は、環境保護のため禁止といっていますが。今でも笑えるような身近な笑いがちりばめられているのも魅力で、コミカルな笑いが好きな人や、人や物事の本質的な美しさを垣間見たい人はぜひ一度ご覧ください。アーニャ・スミス王女を演じていたオードリー・ヘップバーンはどんな女性だったのでしょうか。冒頭部分のアン王女が眠っているときに軽々とお姫様抱っこをするシーンは、力強いたくましさも感じさせました。『ローマの休日』は彼の魅力を最大限に引き出す演出の多い作品だと思います。女性ならハイヒールをこっそり脱いで、ばれてしまわないか慌てたことのある人も多いのではないでしょうか。このシーンは思わず共感して笑ってしまいます。「名作」といわれると敷居が高いイメージですが、現代でも通用する「あるある」的笑いが作中にちりばめられていることが、今観ても面白い理由だと感じました。映画公開から60年以上たった今でも、映画史上に残る名作として高い評価を受けている本作の感想と解説を紹介します。ネタバレを含んでいるのでご注意ください。紳士的で正統派美形俳優のグレゴリー・ペックですが、ニューヨークの俳優養成学校を休学しているときに、トラックドライバーなど様々な種類のアルバイトを経験しています。これらの経験が、のちの粗暴なカウボーイ役や土臭くあか抜けないキャラクターの演技につながったのかもしれません。当時、王女はBBC放送で「私はピーター・タウンゼント大佐と結婚しない」という破局宣言までさせられたそうですよ。『ローマの休日』が1953年に公開されて、マーガレット王女の恋愛関係が暴かれた時期と近いことからモデルといわれています。本作のプロデューサーは関連性を否定しています。また、公開当時を知っている70代女性にグレゴリー・ペックの印象を聞くと、「ローマの休日のグレゴリー・ペックは土臭いやぼったさがあったが、そのやぼったさが逆によかった」とのことです。やぼったく少しあか抜けない新聞記者と、王女との恋愛というチグハグな恋愛設定がおもしろかったのでしょう。この時計台は、左側が時間を示す時針で、右側は日時計です。デジタルリマスター版では修正されていて、もう観ることができないそうです。youtubeには、まだ修正前の動画が流れています。時計の針のさしている時間は、白黒で遠目ですので少し見にくいのですが、当時の映像を参考に時系列を整理します。右側の日時計はほぼ見えないので、左側の時針で判断します。総ページ数は112ページです。簡単な英語で書かれているそうなので、久しぶりに英語の勉強がしたい人は挑戦してみてはいかがでしょうか。私も英語学習教材の本を読んだことがあるのですが、もともと知っているストーリーのものだと、文法や単語の意味が分からなくても前後の脈略で理解しやすかったりします。新聞記者ジョー・ブラッドレーを演じているのは、『アラバマ物語』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したグレゴリー・ペックです。彼は、端正な顔立ちで背も高く、正統派美形俳優です。『ローマの休日』は「映画史に残る名作」「色あせない作品」と評されることが多いですよね。なぜ、そう言われるのか考えてみました。一方、本作の監督と脚本家は、政治的な主義主張との関係でいろいろと不遇な状況に追い詰められていました。一部報道によると、本作はかなり限られたコストのなか撮影されたそうです。ヴィットリオ・エマヌエーレ駅から歩いて5分ほどのところにあり、2018年の今も営業をされていて、小さいサイズのジェラートは1.6ユーロとお手頃価格です。1.6ユーロは、201.82円です(2018年12月28日の外国語為替レート)。イタリア旅行をしたときは、ぜひ立ち寄りたいものですね。『マイ・フェア・レディ』は、オードリー・ヘップバーン主演で『ローマの休日』と逆の設定の作品です。言語学専門の教授と下町出身の粗暴で品のない女性との恋愛模様が描かれています。身分違いの恋を描いた作品や出来事は、いつの世も人々の興味を引き付けるのですね。『ローマの休日』は、1953年にアメリカで公開された映画です。日本では、1954年に公開されました。1950年代は、映画最盛期ともいえるほど映画業界が盛り上がっていた時代で、日本では黒澤明などが輩出されました。オードリー・ヘップバーンは本作でアカデミー主演女優賞を獲得し、人気女優に仲間入りします。ファッションアイコンにもなり、髪型やファッションを真似する女性も増えました。アン王女とブラッドレー記者が真実の口を観に行くシーンがあります。真実の口とは、“偽りの心の持ち主は手をかまれる”という言い伝えのあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外壁に飾られている石の彫刻です。そして、真実の口の前に来たとき、ブラッドレー記者は職業を偽装していて“スクープをとりたい下心”をもっている状態でした。ブラッドレー記者は真実の口の前でどんな気持ちになったのか興味深かったです。真実の口の存在は、ブラッドレー記者の改心に影響を与えたのかなとも思いました。まず1つ目は、今観ても思わず「あるある」と笑ってしまうような笑いが豊富だからだと思います。たとえば、映画冒頭にアン王女がハイヒールに疲れてドレスの下でヒールを脱いでくつろいでいるうちに、ヒールが倒れて履けなくなってしまうシーンがあります。オードリー・ヘップバーンは、イギリス人でハリウッド映画の黄金時代を支えた女優の1人です。オードリーヘップバーンと表記されることもあります。幼少期は、ドイツ軍占領下のオランダで過ごしています。初主演作は1951年の『ジジ』で、その後の『ローマの休日』で大ブレイクを果たしました。ヨーロッパ各地を表敬訪問中のアン王女は、王室のしきたりやハードスケジュールにストレスがたまり、城から抜け出してしまいます。カメラは、真実の口の彫刻の前から立ち去る彼らを映したあと、再びじっくりと真実の口だけを映し出します。とても意味深なシーンです。映画のラストで、ブラッドレー記者がみせる誠実さへの伏線とも感じます。ほかにも、早稲田大学の研究室が「ディープネットワークを用いた大域特徴と局所特徴の学習による白黒写真の自動色付け」という技術を用いて、予告編に色付けした動画もあります。通常のカラー映像と違い、ちょっと赤身を感じさせる3色刷りのような色合いですが、オードリーの肌の質感などぬくもりを感じさせるリアルさです。『ローマの休日』は、主題歌のようなものがなく、それほど音楽は目立ちません。音楽は、ジョルジュ・オーリックというクラシック出身の作曲家が手掛けています。『ノッティングヒルの恋人』はハリウッド女優と本屋のさえない店員の恋を描いていて、『ローマの休日』のオマージュ的作品とよくいわれています。ディズニーの『アラジン』も王女と貧しい青年の恋を描いています。今回は『ローマの休日』の感想と解釈を紹介しました。『ローマの休日』は不朽の名作として今なお愛され続ける作品です。オードリー・ヘップバーンのかわいさや、グレゴリー・ペックの名演技、ラブストーリーに人間的深みのある要素などが人気の秘訣だと思います。2人の恋は成就しませんが、観終わった後には爽快感や満足感を感じる作品です。『ローマの休日』は、“ファッション”と“約束は守るものという認識”を世界中に与えたと思います。これまでにアカデミー賞をはじめ、ゴールデングローブ賞やトニー賞など、数々の受賞歴があります。これほどの数の受賞歴がある女優はあまりいません。そして、後半生はユニセフの仕事に励んでいました。恋は実りませんが、人間としては一皮むけたような実りを感じさせるラストです。恋愛だけでない人間性の深みにも迫っていることが、不朽の名作とよばれる理由なのかもしれません。アン王女とグレゴリー記者が再会するスペイン階段のシーンで、アン王女が食べているジェラートがおいしそうですよね。このジェラートは世界最古のジェラート屋ともいわれている1880年創業の“パラッツォ・デル・フレッド(Il Palazzo del Freddo)”というローマのお店のものだそうです。コミカルなこのシーンは、慌てるアン王女がかわいいですし、ブラッドレー記者の手が吸い込まれるような演技や袖口で手を隠すタイミングもよくて、思わず笑ってしまいます。真実の口のシーンはグレゴリー・ペックのアドリブとも言われているシーンです。笑いどころの多い映画ですが、個人的にこのシーンが一番笑いました。映画の最初の部分で、アン王女がブラッドレー記者に「約束ね」と言うシーンがあります。ブラッドレー記者は、それに答えずはぐらかしてしまうのですが、最終的にはアン王女との約束を守ります。“約束を守る”ことの大切さや美しさは世界中の観客の心に響いたと思います。第二次世界大戦直後に各国でさまざまな条約が結ばれ、「この取り決めがずっと続くのかな」「ずっと守られてずっと平和が続けばいいな」という人の心にも響いたような気がします。スペイン階段でアン王女と偶然をよそおって現れたブラッドレー記者の再会シーンがあります。このシーンは6日間もかけて撮られたそうです。そのためか、映画のなかで進んでいるだろう時間と時計台の針がさしている時間の進み具合が一致しません。2018年のベスト映画としても評される「ROMA/ローマ」は、あえて白黒で描かれています。カラーも良いですが、白黒の良さもありますよね。アン王女には、モデルがいるといわれています。エリザベス二世女王の妹のマーガレット王女です。ブラッドレー記者のモデルは、英軍第二次世界大戦で活躍し“空の英雄”ともたたえられたピーター・タウンゼント大佐です。本作は第二次世界大戦後の激動の時代にマッチした作品です。第二次世界大戦直後という、変化の大きい当時の時代背景と重ねて、“見た目はかわっても国や人の本質的な美しさはかわらない”ということが訴えられているように感じました。でも、配偶者と子どもがいて恋に落ち、ハッピーエンドを迎えるという展開は、現代では通用しなさそうですね。『ローマの休日』は「本質的な美しさはゆるがない」ということをテーマに描かれていると思いました。髪を切って変身していくアン王女の姿に、観客はこれからどうなるのかとハラハラさせられます。美容師とのやりとりをはさみながら、大胆に変化していく姿に観客の期待値もあがります。公開当時は、第二次世界大戦後で世界中が大きくかわっていく時代でした。「約束は守られる」「その人のもつ本質は揺るがない」という隠されたテーマが、変わりゆく時代を生きる観客に安心感をもたらしたと感じました。映画の最後の記者会見のシーンで、他の記者とともにずらりと並んだとき、そこでも他の記者と比べて頭ひとつ飛び出ているくらいの背の高さです。これは、グレゴリー・ペックの背の高さを強調させるために、周りの記者は背の低い役者を集めたのかなと思いました。『ローマの休日』は本でも出版されています。ラダーシリーズという、やさしい英語で書かれた英語学習教材から出ています。ラダーシリーズはレベル1~5、スペシャル・エディションとあります。『ローマの休日』はレベル2で、比較的やさしい英語で書かれています。現代の有名人でいうと、シンガーソングライターのアリアナグランデにも少し似ている気がします。アリアナグランデもドラマなどで話しているときは、華奢な雰囲気で可憐ですが、歌うときは凛として強さを感じますよね。オードリー・ヘップバーンも、細くて繊細な印象ですが、真顔のシーンでは美しすぎて他の女優とは一線を画す圧倒的な強さです。カラー版『ローマの休日』も魅力的ですが、白黒のほうが顔の彫りも深く見える気がします。衣装も白黒のほうが映えるという声もあります。ほぼ無名の新人だったオードリー・ヘップバーンは、本作で1953年のアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、人気映画女優の階段を駆け上がることになります。世界中の女性のファッションアイコンとしても知られ、数々のラグジュアリーブランドのアイテムを可憐に着こなしていました。これは、オードリー側が「このブランドを着たい」と申し出たというより、オードリーの美しさでアイテムがより引き立つため、ブランド側が「着てください」と依頼していたような気もします。映画『ローマの休日 』はオードリー・ヘップバーン演じるアン王女と、グレゴリー・ペック演じるジョー・ブラッドレー新聞記者の1日だけのデートを描いた恋愛映画です。医者から打たれていた鎮静剤の影響もありローマの路上のベンチで眠りかけているところ、アメリカ人新聞記者のジョー・ブラッドレーと出会います。ブラッドレーはアン王女のスクープをとろうと、身分を偽り彼女に接近します。ローマで1日だけの休日を楽しむ2人の仲はしだいに近づいていき・・・。公開当時はモノクロだった『ローマの休日』ですが、制作50周年を記念して作られた“デジタルニューマスター”版からカラーも出ています。ブラッドレー記者がアン王女に挨拶して座ろうとしてから座るまでは、一連の動きでカットが切り替わるだけです。この切り替わったカットの背景にうつる時計が数時間ほど経過しているのです。本を読んだ人の感想文によると、分かりやすくてスラスラ読めるようですよ。映画を観たことがない人は、アン王女のセリフに心を打たれて映画を観たくなった人もいるようです。名台詞が活字になっているので、じっくりと自分のペースで味わうことができますね。1950年代のイタリアは、奇跡的復興とよばれるほど社会が大きく変化していっていました。第二次世界大戦が終わり、アメリカをはじめ世界中の国が変化している時代だったと思います。大きくかわることへの期待とともに、不安も入り混じっていたでしょう。人や国の見た目が変化してしまっても内面にあるそのものの根幹はゆるがない、ということがテーマにあると感じました。映画のサントラはないようで、オリジナル・サウンドトラックが1曲だけ出ているようです。Amazonのミュージックのカテゴリで『ローマの休日』を検索すると、大地真央がアン王女を演じているミュージカルのサウンドトラックが出てきて、本家オードリー版の『ローマの休日』のサウントトラックは出てきません。『ローマの休日』には続編がありません。でも、続編を制作する計画はあったようです。続編でも、オードリーとグレゴリーが再びタッグを組む予定だったそうで、オードリー自身も続編制作を希望するようなコメントを出していました。大胆なショートカットに変化しますが、王女の美しさとしなやかさに何の変化ももたらしませんでした。王女の品格のぶれなさに観客はもう一度驚かされます。ブラッドレー記者とカメラマンも、王女の何物にもゆるがない姿に魅せられて写真を返したのではないでしょうか。撮影当時の制作スタッフは「作品は映画館で1,2度観られるだけ」と思っていたのかもしれませんね。まさかここまでデジタル機器が発達して、じっくり観られるとは思っておらず、細かいところまで修正していなかったのかもしれません。1960年代に入ると、テレビを観る人が増えてくるので、映画の動員者数は少しずつ少なくなってきます。映画制作者もテレビ制作に移ることが増えたようです。そのため、『ローマの休日』を撮影公開した時代は、有能な映画製作スタッフがそろって、予算も多くさくことのできる“映画制作の黄金時代”とよべると思います。
『ローマの休日』を観るだけで英語の基本が身につくdvdブック (映画観るだけマスターシリーズ) 藤田 英時 5つ星のうち3.8 40