湘 … ここで重要なのは、”パスは数多く繋げばよい”というものではない、ということです。サッカーはゴールを奪った数を競うスポーツですから、1本のパスでもゴールに結びつけば、問題ありません。パスという”手段”の活用法は、チームによって違います。FCバルセロナのように、人と人とが短く正確で速いパスを繋ぐことでゴールを奪うチームもあれば、レアル・マドリーのように、長くて速いパスを正確に繋ぐことで、相手のディフェンスが整わないうちにゴールを奪おうとするチームもあります。僕が”パスサッカー”という言葉に違和感をもつのは、”パスサッカー”という言葉に”パスを繋ぐことだけのサッカー”という意味も含まれていて、受け取った人に誤解を生むと考えているからです。2013年の川崎フロンターレは、パスをつないで相手の守備を崩すというよりは、相手が何人で守っていても、一見してスペースがないように見えても、パスの受け手と出し手の関係で、手数をかけずに相手の守備を崩してしまう。そんな攻撃を得意としているチームでした。2013年シーズン第16節の浦和レッズ戦の3点目のゴールは、左ウイングバックの登里が(なぜか)ペナルティエリア内でパスを受け、中央に走り込んだ山本真希にパスを出して、ゴールを決めています。浦和レッズの選手は4人の選手がボール周辺にいましたが、登里と山本のパス交換だけでゴールをきめています。「孤立するくらい極端な事を言わないと、物事は変わらない」と語っていた監督がチームを去り、Jリーグ3年連続得点王がチームを退団。キャプテンが代わり、新たな選手も加入した、川崎フロンターレの2017年シーズンはどんなシーズンになるのか。風間八宏さんが監督を務めていた川崎フロンターレのサッカーが、「パスサッカー」と表現される事が増えたのはいつからだろうか。僕が2013年4月に「パスサッカーなんてサッカーはない」という記事を書いているので、就任当初から「パスサッカー」と表現されていたのかもしれない。川崎フロンターレは、2015年以降、少しずつ世間一般で言われる、ただボールをキープするためにパスをつなぐ「パスサッカー」へと変化していきます。なぜ川崎フロンターレのサッカーは変わってしまったのか。じっくりと振り返ってみたいと思います。「孤立するくらい極端な事を言わないと、物事は変わらない」と語っていた監督がチームを去り、Jリーグ3年連続得点王がチームを退団。キャプテンが…2013年から2014年シーズンくらいまでは、相手が何人で守っていても、パスの受け手と出し手の関係で相手の守備を崩すサッカーが出来ていました。しかし、2015年シーズンから少しづつ川崎フロンターレの攻撃で、そんなシーンが観られなくなりました。僕は風間監督と大久保嘉人が退団した要因の1つとして、川崎フロンターレのサッカーが変化したことが大きいと思っているからです。そして、この変化は大久保と風間監督の意図通りではなかったと思っています。風間監督は何度か修正を試みていますが、修正できませんでした。風間さんは、「ボールを持つこと」はあくまで攻撃するための”手段”と位置づけ、しかし全く違う方法で結果を出してくれても構わないと思っている監督です。フットボールサミットで水沼貴史さんとの対談では、「横パスは1本もいらない」と語っていたくらいです。また、2013年シーズン第34節横浜F・マリノス戦のゴールは、ボールを奪ってから、走っている選手が誰もスピードを落とさずにパスを繋ぎ続け、相手の守備が整う前にゴールを奪ってみせました。当時、何十回とこのゴールシーンを観ました。そのくらい素晴らしいゴールだったと思います。サポートと激励や感想メッセージありがとうございます!いただいたサポートは移動費や機材補強などにありがたく遣わせていただきます!!
川崎フロンターレは、2015年以降、少しずつ世間一般で言われる、ただボールをキープするためにパスをつなぐ「パスサッカー」へと変化していきます。なぜ川崎フロンターレのサッカーは変わってしまったのか。じっくりと振り返ってみたいと思います。 川崎フロンターレはトップチーム以下、ボールを止める・蹴るを大事にしており、冨田コーチは「u-10では、ボールを運ぶ練習にこだわっています。 ボールを運べる技術を身に付けることが止める・蹴るといったサッカーに必要な技術につながっていきます」と話す。 Kawasaki Youth Grown-Ups. 思わず「すごい・・・」と漏らしてしまう一撃。ダノンネーションズカップでもゴールを積み重ねた左足はますます磨きがかかっている様子でした。8分には佐々木に代えて山田が入り中盤に。秋葉が右サイドに、小室は左サイドに入ります。直後には左へ開いた石原のパスを受けた小室がエリア前で相手選手をうまくはずしてゴール右へ流し込み4-0。立ち上がりのフロンターレは小室を起点にエリア左から石原が追加点を狙いますが、シュートはGKに。さらに右サイドを佐々木が突破し、最後は石原。しかし、うまくミートさせることはできず。準決勝のもうひとつの試合は横浜市が拠点の強豪、バディーサッカークラブが3-0で東京ヴェルディジュニアに勝利。この大会の神奈川県予選、チャンピオンシップと同じくフロンターレvsバディーサッカークラブが決勝の組合せとなりました。11分には自陣でボールを相手に渡してしまうここまでなかったミス。いったんは青山がシュートを防ぎますが、こぼれ球を決められて1-1。追い付かれてしまいます。しかし、5分にはセットプレーからバディーサッカークラブが同点に。左コーナーキックに高い打点のヘディングで合わせられると青山がわずかに触ったもののボールはネットを揺らして1-1とされてしまいます。さらにフロンターレは小室がエリア外正面から送ったパスに右サイドを抜け出した佐々木がミドルを狙い、直後には再び小室を起点に五十嵐が追加点を狙いますが、いずれも決まらず。グループリーグを勝ち抜き、1位トーナメントに進出したのはフロンターレU-12のほかに、バディーサッカークラブ、東京ヴェルディジュニア、1FC川越水上公園、レジスタFC、ヴァンフォーレ甲府U-12、水戸ホーリーホックEIKOジュニア、ヴェルフェたかはら那須U-12。フロンターレが優勝したダノンネーションズカップで好成績をおさめたチームもあり、なかなかの強豪ぞろいとなりました。なお、準々決勝のそのほかの試合ではバディーサッカークラブがヴェルフェたかはら那須、ヴァンフォーレ甲府が水戸ホーリーホックEIKOジュニア、東京ヴェルディジュニアがレジスタFCに勝利し、準決勝へ進出。特に2点をリードしたヴェルディを、怒濤の反撃で同点に追い付いたレジスタFCがあと一歩のところまで追い詰めた試合はPK戦までもつれるこの日一番の熱戦でした。10分には右サイド佐々木が送ったボールを逆サイドで受けた佐川がシュートを放つとこれはポストをたたきます。その後もボールを回しながらゴールを狙うフロンターレ。11分には甲斐からボールを受けた五十嵐が左から折り返したボールに佐々木が合わせますが、GKが防ぎ、直後には田鎖のパスに抜け出した小室、さらには甲斐を起点にエリア左から佐川がシュートを放ちますが、これは右へ。スコアは2-1のまま、前半は終わりました。湘南戦での悔しい敗戦の翌日は埼玉県朝霞市の朝霞中央公園陸上競技場へ。川崎フロンターレU-12が出場した関東少年サッカー大会は二日目。初日のグループリーグを2連勝で終えたフロンターレU-12は1位トーナメント準々決勝へ進出しました。昨年はこの大会では決勝で大宮アルディージャに敗れ準優勝。果たして今年は。6分には佐々木に代わり山田が入り中盤に。右サイド秋葉、左サイドに小室。フロンターレの先制点は3分。バディーのゴール前でのパスミスからそのまま五十嵐が右からシュートに持ち込み1-0。相手のミスを逃さず、さい先よくスコアを動かします。しかし、それで落胆をせず相手に流れを渡さないフロンターレ。直後にドリブルで前へ上がった甲斐のパスを受けた秋葉がエリア外左からネットを揺らして2-1。このあと、小室に代わり4番山田新己、石原に代わり7番南暖とメンバーを入れ換えてさらにチャンスをうかがったフロンターレ。スコアこそ動かすことはできませんでしたが、1FC川越水上公園に反撃を許さず準決勝進出を決めます。フロンターレの先発は準々決勝と同じくGK青山、CB田鎖、甲斐、中盤に小室、右サイドに佐々木、左サイド佐川、前線に石原と五十嵐。立ち上がりのフロンターレは右サイドを突破した佐々木からボールを受けた石原がシュートを放つもこれはGKに阻まれます。ヴァンフォーレも左サイドから7番の選手がフリーでシュートを放ちますが、スコアを動かすことはできません。直後にはバディーサッカークラブ。ヴェルディとの準決勝での活躍が光った4番が粘り、ミドルシュートを放つも枠をとらえることはできず。5分にはミドルシュートをさらに浴びせられますが青山がなんとか防ぎ同点とはさせません。17分には甲斐のパスを受けた小室がエリア左からシュートを放つも仕留めることはできず。直後にはエリア左でボールをキープした小室が再びシュートに持ち込みますが、これは右へ。しかし、これで流れを渡さないたくましさがこの日のフロンターレにはありました。7分にエリア正面右でボールを受けた石原がミドルシュートを放つとこれがネットを揺らして2-1。
後半は双方得点を入れることはできずにタイムアップ。さすがに連戦ということもあってかだいぶ体が重そうにみえたフロンターレでしたが、ここぞというところで流れを渡さない戦いぶりは見事でした。19分には五十嵐がファールを受けて、エリア外左でのフリーキックのチャンス。甲斐が左足を振り抜くとボールはポストを直撃。追加点とはなりませんでしたが、ボールも支配し追加点の予感を漂わせてハーフタイムへ入ります。その後もボールを回しながら追加点を狙うフロンターレ。しかし、1-0のまま、前半は終わりました。3分にはフロンターレ、小室がエリア正面で仕掛けてシュート。しかし、ボールは左へそれて決まらず。4分にはさらにフロンターレ。甲斐の縦パスをエリア内右で受けた石原がうまくターンをして放ったシュートがゴール左を揺らして1-0。後半のフロンターレは佐川に代わって秋葉が左サイドに入りキックオフ。6分にはヴァンフォーレがマイナス気味の右コーナーキックからシュートに持ち込みますが青山が防ぎ、ゴールを割らせず。ヴァンフォーレの反撃を封じたフロンターレは決勝へ駒を進めました。フロンターレの先発は準々決勝、準決勝と同じくGK青山、CB田鎖と甲斐、中盤に小室、右サイド佐々木、左サイド佐川、前線に石原と五十嵐。後半は佐々木に代えて6番秋葉拡人が右サイドに入りキックオフ。1分に追加点が生まれます。自陣からボールを運んだ甲斐がセンターサークル付近から左足を振り抜くと、ボールはゴールを射抜き3-0! 川崎フロンターレU-12が出場した関東少年サッカー大会は二日目。初日のグループリーグを2連勝で終えたフロンターレU-12は1位トーナメント準々決勝へ進出… コンテンツへ移動. 背の高くない選手でもターゲットマンの背後もしくは後方に位置することで得点の可能性をあげている。こういったポジショニングが特に上手いのが小林である。ただし、対3バック時には弱みが出る。HVに対してSHが食いついてスペースを与えてしまうシーンは多々見られ、大分戦等では特に苦しんだ様子であった。当然、惜しくも得点には繋がらず未遂に終わった攻撃もあり、その中にはショートパスでの崩しも含まれる。故に、実際に決まった得点のカテゴライズだけでそのチームの色を判断することは出来ない。川崎フロンターレの22節までの全33得点をカテゴライズしてみると下記のような結果に。また、皆がライン間にいると、裏に抜けるための距離が発生してしまう。これも全員がライン間に入る弊害だ。川崎で裏に抜けての得点はほとんど見られず、逆に阿部を中心としてミドルシュートが多いのもこういった要因である。即時奪回のフェーズで敵の守備陣形が整っていない状態であれば裏以外にもスペースが発生しているため、素早いパス交換からゴールを陥れるシーンも見られる。そしてキーとなるのが3列目、特に田中だ。敵の状況に応じてパスコースの制限、アタック、味方への受け渡しの判断をこなして刈り取る彼のプレーが、カウンターの芽を摘むのに一役買っている。登里、車屋、ジェジエウ、谷口等DF陣の出足もよく、田中と同じ高さまで前進して刈り取るシーンが非常に多い。局所的に人数がかかるうえに縦の関係性ができあがり、2列目の選手が前に押し出される形となるからだ。個々人が単発で行う裏抜けというのは動画1秒のシーンで田中が素振りをみせたような形だ。ホルダーとも合わず、他に絡む選手がいない状態である。その数秒後、ゴールとして生まれる知念の裏抜けは田中の降りる動きに連動したものとなっている。横並びの陣形で縦の関係性が作り出せない状況であるが、ここに3列目の田中が加わるとチャンスになるシーンが多い。奪われた直後ではなく、セットされた状態から始まるプレッシングに関しても連動性が見られる。守備に走れる小林を中心に前線のメンバーでプレッシングをかけてはめ込む形はチャンスをもたらすこともしばしばである。選手がバラバラに点在するのではなく一箇所に集中することでマークにつかれにくくしているのだ。川崎の基本布陣は4-2-3-1。中盤で細かいパスを回して前進する。3列目には展開力がありいざという時には攻撃参加までこなせる選手、2列目にはテクニックに優れた選手が並び、最前線には小林、レアンドロ・ダミアン、知念と得点力に優れた選手たちが位置する。ネガティブトランジションの際は前線のプレッシングだけでなくDF陣も果敢に前に出てカウンターの芽を摘む。川崎で言うとレアンドロ・ダミアンの起用は「曖昧」を解消する一つの手段となっている。パスワークというイメージが強い川崎。実際川崎のパスワークは巧みであり、中盤でのパス交換は現地観戦したチェルシー戦でも奪われる気配を感じさせなかった。ただし、アタッキングサード侵入後はパスワークで崩すシーンがそれほど多くなく、裏に抜けるタイミングや連携もバラバラであることが多い。そんな2列目より上の選手のライン間の位置取りはロングボールやクロスボールで役立てられており、イメージとの大きなギャップを感じた。不思議な感覚である。縦関係を作った場合、マークにつくためにDFまで縦関係になれば左右にスペースができる。ニア・ファーのどちらにボールが入ってきても合わせるためのスペースが確保できるのだ。後ろの選手をフリーにすればマイナスのクロスへの対応が遅れるうえ、数的不利を許すことに繋がりかねない。そんな迷いをDFに与えることができるのだ。ダミアンや知念を目掛けたロングボールはひとつの強力なオプションとなっている。川崎は「個人」で見ると、裏に抜ける素ぶりを見せる選手が確実に存在する。「ボールを持っている選手に対して」三角形を作ってパスルートを確保する動きもリーグ屈指である。試合によってはアタッキングサードでの崩しの巧みさを発揮することもあるだろう。ただし、停滞感を打破するためには悪い意味での「曖昧さ」、そして役割の整理が必要となりそうだ。それぞれが相反する項目ではなく、重複をあえてカウントしたため合計は33を超えている。明確な指標・定義を用いてのカテゴライズではないが、誰がカウントしても誤差の範囲だろう。これは最前線の選手が中央から離れる事でSHの選手が斜めに抜けるスペースを確保できるというのも大きい。セット攻撃でなかなか見られないプレーが守備のフェーズ(プレッシングでCFが中央を離れる)を経ることで可能となっているのだ。選手一人一人のクロスボールの精度の高さも当然ポイントとなっている。川崎フロンターレといえば丁寧にパスを繋いで攻撃を組み立てるチームというイメージが強い。しかし、2019シーズン22節までの全33得点を見返してみると、引いて守るチームをショートパスで崩して奪った得点はたったの2つほどであった。今回はそんな川崎フロンターレがとる戦術にフォーカスする。ただし本記事では、カテゴライズした得点数という数字、そして実際の試合での各攻撃パターンのクオリティと得点数はおおよそ比例しているという筆者の印象を元に話を進めていく。通常ライン間に入るというのは良い意味での「曖昧」を作り出す。DFからすれば「前に出ないと攻撃にスイッチが入る、前に出れば後ろにスペースができる、どうする?」という「判断を迫られるプレー」だ。しかし川崎の選手はこれを全員で行うため、味方同士のプレーさえも予測できない、悪い意味での「曖昧」が生まれている。ちなみに、芽を摘みきれずにカウンターを喰らった際の対応は特に良いわけではない。川崎はボールを奪われてからの切り替え・プレッシングが非常に速く、即時奪回からチャンスに結びつけるシーンが何度も見られる。また近距離を維持することで、前方に位置していた選手が合わせられず後ろに流れてきたボールにも即座に対応することができる。ダミアン以外でも、ロングボールをライン間で縦関係を作って処理するという攻撃は猛威を振るっている。ライン間のポジショニングを細かいパスワークよりもロングボールで活かしているというのが川崎の面白いところだ。どちらかというとパスで崩すタイプのチームが仕掛けるポジショニングであり、一見すると川崎もそうであるように見えるが、実際に活きているのはロングボール戦術なのである。また、「全員がライン間に入る」という陣形は「曖昧さ」を生む原因となっている。最も大きなロングボール戦術に関しては後述するとして、上の動画の様にポストプレイヤーとしてはっきりとした役割を与えられる選手を置くことで、裏に抜けずともスムーズな連携から得点を奪うことが可能だ。