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ニューヨークのメトロポリタン美術館コスチューム・インスティチュート(衣装研究所)で、春の特別展「Rei Kawakubo/Comme des Garçons: Art of the In Between(川久保玲/コム デ ギャルソン/間[はざま]の技)」が、2017年9月4日まで開催中だ。1969年に「コム デ ギ… 川久保玲のデザインの特徴は、衣服の概念を破壊していくパワフルな造形にある。だが、その特徴が最も表現されていた近年のウィメンズラインのコムデ ギャルソンは、今の時代感とフィットしないように僕は感じていた。 だけどプリュスは異なる。 川久保玲のデザインの特徴は、衣服の概念を破壊していくパワフルな造形にある。だが、その特徴が最も表現されていた近年のウィメンズラインのコムデ ギャルソンは、今の時代感とフィットしないように僕は感じていた。サポートは新作のAFFECTUSの出版費用、執筆の活動費に使い、言葉がファッションを面白くする体験をもっと届けたいです。よろしくお願いします。ウィメンズラインのコム デ ギャルソンは、ファッションの創造性と自由が堪能できる服なのは間違いない。だけど、僕が川久保玲の創造性を今最も堪能できる服は、メンズラインの「コム デ ギャルソン オム プリュス(Comme des Garçons Homme Plus)」だ。*以下プリュスあるモデルは首を少し斜めに傾けながら不機嫌な表情で、あるモデルは顔を俯かせながらも視線を上げ睨みつけるように正面を見据え、彼らが歩くことで華やかさが舞台のランウェイが陰が滲むストリートへと変わっていく。1981年にパリに殴り込みをかけ、ボロボロの黒い布で覆われた女性の身体は、西洋のファッション観に衝撃を打ち込んだ。1996年に発表されたこぶドレスは「美しさとは何か」という問いかけを、世界へ投げかける。だけどプリュスは異なる。あくまでフォルムはスタンダード。メンズウェアのフォーマットをキープした上で、クリエイティビティを発揮している。そのアプローチはまさにモダンと呼べ、時代とのこれ以上ない合致を生む。そして、その合致こそが僕にプリュスを、今最も川久保玲の創造性を堪能できる服と思わせる理由だった。最新の2019AWコレクションでも、プリュスはメンズウェアの概念を攻め立てるように破壊していく。メンズウェアのフォーマットを保持したままで。同時に僕はそこに現代とのフィットを感じた。先ほど述べた通り、現代はリアリティが最も重要になっている。ストリートウェアがファンという限定された空間から、マスにまで世界中に急拡大したのは、リアリティという時代感を最も捉えた服だからでないかと考えている。ジャケット、コート、パンツというアイテムの造形そのものは、ウィメンズラインとは異なり、挑戦的かつ挑発的な要素は見受けられない。スタンダートなフォルムの上でデザインするという、メンズウェアのフォーマットに準拠している。川久保玲は服の造形そのものはあくまでスタンダードにし、素材と細部に自身の創造性を持ち込み、メンズウェアをデザインしている。艶っぽく怪しげなムードを放つシャイニーな素材感に、パンキッシュなチェーンモチーフのディテールやアクセサリー、アウトサイダーたちの叫びを具体化したプリュスのアティテュードは、どこまでも時代に中指を立てる。登場する男性モデルたちは、他のブランドとは一線を画す。いわゆるランウェイを飾るにふさわしい「美しい男たち」ではない。一癖も二癖もある、時代のルールから外れて生きてきたアウトサイダーの匂いを、彼らはこれでもかと振りまく。服の造形はスタンダートであることが、なぜメンズウェアのフォーマットなのか。推測するに男性の平面的で硬質な身体が、ウィメンズウェアのようなダイナミックな造形と相性が悪いのではないか、ということである。女性の身体はバスト・ウェスト・ヒップと、男性のボディラインに比べ造形が曲線的で柔らかく華やかだ。そのようなボディラインと、衣服の可能性を探求するような大胆なフォルムとは相性がいい。そのことを証明するように、モード史の中で記されているデザインのほとんどがウィメンズウェアである。モデルたちは黒い網タイツを履き、その上からレングス様々な黒いソックスを重ね履きしている。服に視線を寄せれば、男たちがスカートやワンピースを着ていることに気づく。しかし、女性ならではのフェミニンさとは無縁なブラックでダークなSMテイストを充満に香らす、アンダーグラウンドな空気が見る者の網膜を刺激する。時間を経て積み重ねられてきた作り手たちの無意識下の感覚が、メンズウェアのデザインを規定していったように思える。それは僕自身、服作りの経験を経て感じた感覚でもあった。男性の平面的な身体の上で、ウィメンズウェアのような大胆なフォルムを発想するには難しさが伴う。服を纏わせる身体を選ぶこと、そこからファッションデザインは始まっている。コム デ ギャルソン オム プリュスは、世界で最も激しく先端性を競うモードの中心パリで証明する。時代にアンチテーゼを打ち込む川久保玲の創造性に限りがないことを。しかし、ある事実に一つ気づく。世界を揺るがしてきたコム デ ギャルソンのデザインの多くがウィメンズ、つまり女性の服であることに。近年でも川久保玲は「テキスタイル オブジェ」と称せる巨大な布の造形をウィメンズコレクションで発表し、リアリティが全盛の「今」に一人反旗を翻すように戦いを挑んできた。「コム デ ギャルソン(Comme Des Garçons)」と言えば、時代の価値観を変革させるほどの挑戦的な姿勢で、モード史に足跡を残すデザインを発表してきたブランドだ。 川久保 玲(かわくぼ れい、女性、1942年 10月11日 - )は、日本のファッションデザイナーで、ファッションブランド「コムデギャルソン」の創始者 。 株式会社コムデギャルソンの創業者にして設立から現在に至るまで代表取締役社長を務めるオーナーデザイナー。 友人と、2019年春夏のコムデギャルソンの「デザインしない」コレクションを語らう もちろん川久保玲は単なる「どシンプル」で終わらせてはいませんが、それ以上に朝日新聞に出ていた大先生のカチューシャ姿にビックリ。 1987年、45歳。「コムデギャルソン オム ドゥ」(COMME des GARÇONS HOMME DEUX)立ち上げ。「コムデギャルソン ノアール」(COMME des GARÇONS noir)立ち上げ。1984年、「コムデギャルソン オム プリュス」(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)を立ち上げ。仏パリで本格的な最初のショーを開催。1988年、コムデギャルソンのブランド誌『Six sense』立ち上げ。「コムデギャルソン シャツ」(COMME des GARÇONS SHIRT)立ち上げ(仏「Comme des Garçons S.A.S」)。2008年、「ブラック コムデギャルソン」(BLACK COMME des GARÇONS)立ち上げ。展覧会のレポートや独占インタビュー、作品アーカイブなど、コム デ ギャルソンを多角的に展示紹介。なお、川久保玲・コム デ ギャルソンのパリコレクションでのコレクション発表履歴(タイトル)は以下のとおり。2007年、65歳。「ポケット コムデギャルソン」立ち上げ。「ガンリュウ」(GANRYU)立ち上げ。1982年、39歳。仏パリに「Comme des Garçons S.A.S」社設立。パリにコムデギャルソンのショップを開店。パリ・コレで穴あき黒服(Hole Sweater)発表。40歳不惑を迎える。2005年、「タオ コムデギャルソン」(tao COMME des GARÇONS)を立ち上げ。「スピード コムデギャルソン」立ち上げ。「アイ コムデギャルソン ジュンヤ ワタナベ マン」(eYe COMME des GARÇONS JUNYA WATANABE MAN)立ち上げ。2017年、74歳、5月、NYメトロポリタン美術館で、「Rei Kawakubo/Comme des Garcons  Art of the In-Between」展開催。2002年、59歳〜60歳。「プレイ コムデギャルソン」(PLAY COMME des GARÇONS)立ち上げ。1964年、21歳〜22歳。同校卒業後、旭化成入社。宣伝部に配属。